コートジボワールのワタラ大統領(83歳)が宣誓、4期目スタート
ワタラ氏は10月に実施された大統領選挙で89%超の得票率を得たとされるが、この選挙には主要な野党候補が出馬できず、投票率は低く、抗議や拘束などが相次いだ。
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アフリカ西部・コートジボワールのワタラ(Alassane Ouattara、83歳)大統領が8日、首都アビジャンの大統領府で就任演説を行い、4期目の任期を開始した。
ワタラ氏は10月に実施された大統領選挙で89%超の得票率を得たとされるが、この選挙には主要な野党候補が出馬できず、投票率は低く、抗議や拘束などが相次いだ。公式発表では、選挙関連の混乱で少なくとも11人が死亡、1600人余りが逮捕された。
就任式にはアフリカ諸国から11人の大統領が出席した。ワタラ氏は演説の中で「この投票は安定、平和、発展を選ぶものだ」と述べた。
ワタラ氏は2011年に初当選して以来、2020年の再選を経て今回が4度目の就任となる。2016年の国民投票で憲法を改正し、大統領の任期制限をリセットできるようにしたことを根拠に、再立候補を正当化してきた。しかし、この見解には野党や国際的にも異論があり、「実質的な権力の固定化」との批判が根強い。
支持者側はワタラ政権下で国内経済、特に世界最大のココア生産国であるコートジボワールの経済復興と成長を実現してきた点を強調しており、これが4期目に望みを託す根拠となっていた。だが反対勢力や市民社会からは、選挙過程の不透明さ、対立候補の排除、政治的抑圧の可能性が強く指摘されている。
実際、今回の選挙では、かつて政権を争った野党幹部ら主要対立候補が裁判所の判断で出馬を禁止され、野党にとって事実上参戦の門戸は閉ざされた状態だった。こうした状況は、「真に自由で公正な選挙」と言えるかどうか、国際社会や国内外の批判を招いている。
今回の4期目就任により、ワタラ氏は最低でも2030年まで政権を維持する見通しだが、その支配体制と政策の正当性を巡って国の分断や政治的不安定の懸念も根強い。多くの市民や専門家は、長期政権がもたらす権力集中のリスクと、将来的な政権交代の困難さを警戒している。
コートジボワールにとって、この就任式は「秩序と継続の選択」として受け入れられる一方で、「民主主義と包摂性の後退」の象徴としても記憶されることになる可能性が高い。
