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イスラエル外相がソマリランド訪問、独立国家承認後初

サール氏は訪問中、イスラエルが近くソマリランドに大使館を開設し、大使を任命する計画を進めていることを明らかにした。
ソマリランド、中心都市ハルゲイサの通り(Getty Images)

イスラエルのサール(Gideon Saar)外相は6日、アフリカ・ソマリアの分離独立地域であるソマリランドを公式訪問した。イスラエル政府が先月、同地域を独立主権国家として公式に承認して以降、イスラエル高官が同地域を訪問するのは初めて。サール氏は中心都市ハルゲイサで政府高官らに迎えられた。

サール氏は訪問中、イスラエルが近くソマリランドに大使館を開設し、大使を任命する計画を進めていることを明らかにした。またサール氏は「イスラエルは攻撃や批判、非難を耳にしているが、イスラエルが誰を承認し、誰と外交関係を維持するかを他国が決めることはない」と述べ、承認決定に対する国際的な反発を一蹴した。

ソマリランドは1991年にソマリアからの独立を一方的に宣言し、政府や通貨を持つものの、国連加盟国からの承認を得られずにいた。イスラエルが同地域を国家として承認したことで、国際社会における存在感が一段と高まる可能性がある。サール氏はソマリランドのアブドゥラヒ(Abdirahman Mohamed Abdullahi)大統領と会談し、両国の関係深化に向けた協議を行ったと伝えられている。

しかし、このイスラエルの決定と外相訪問は地域の緊張を高めている。ソマリア連邦政府はサール氏の訪問を強く非難し、「領土主権の重大な侵害」と断じた。ソマリア外務省は声明で、ソマリランドはソマリアの不可分の一部であり、同地域におけるイスラエルの公式な活動は「違法かつ無効」であると主張している。さらにソマリア政府は国連やアフリカ連合(AU)に対し、ソマリランド承認の撤回を求めるよう働きかけている。

AUも緊急の対応を迫られている。AUの政治・平和安全保障理事会はイスラエルによるソマリランド承認について即時撤回を求める声明を発表し、ソマリアの領土一体性を尊重するよう訴えた。他のアフリカ諸国やイスラム教国もイスラエルの動きを批判し、地域の安定に対する懸念を示している。

一方でソマリランド政府は、イスラエルとの関係強化を歓迎しており、両国の協力が経済発展や安全保障の向上に寄与するとの見方を示している。ソマリランド側は外交関係樹立が「戦略的パートナーシップの確立」になるとし、サール氏の訪問を「重要な節目」と位置づけた。ソマリランド大統領はイスラエルからの招待を受け、近く同国を訪問する意向も明らかにしている。

今回の動きは、東アフリカ地域の地政学に影響を与える可能性をはらんでいる。ソマリランドは紅海とインド洋を結ぶ海上交通の要所であり、戦略的にも重要な位置にあるため、国際社会や地域大国の関心を集めている。イスラエルの承認は同地域の国際的な地位向上を促す一方で、ソマリア政府との対立や地域の分断をさらに深める恐れもある。

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