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ISIS組織、コンゴ東部で100人近くの住民殺害と主張

ISCAPはISISの関連組織の一つで、アフリカの中央部と東部で活動している過激派集団である。
コンゴ民主共和国、武装勢力「連合民主軍(ADF)」の戦闘員(John Wessels/AFP通信/Getty Images)

イスラム国中央アフリカ州(ISCAP)がコンゴ民主共和国東部で100人近くの住民を殺害したと主張した。現地メディアが9日に報じた。

コンゴ東部・北キブ州の地元当局は9日、イスラム過激派とみられる武装勢力が集落を襲撃し、少なくとも60人の民間人を殺害したと明らかにしていた。

当局はイスラム国(ISIS)系組織「民主同盟軍(ADF)」の犯行と非難している。

ISCAPはISISの関連組織の一つで、アフリカの中央部と東部で活動している過激派集団である。

ISCAPは主にモザンビーク北部に拠点を置き、そこから勢力を拡大している。

ISCAPはもともとソマリアの「アルシャバーブ」やナイジェリアの「ボコ・ハラム」などの過激派グループとつながりがあったが、2018年に正式にISISの指導者から認定を受け、活動を始めた。

ISCAPの活動は主にモザンビーク、マラウイ、タンザニア、コンゴ民主共和国などの国々にまたがっており、特にモザンビークのカボ・デルガード地方が重要な拠点となっている。

この地域では過激派グループが政府軍や警察、キリスト教徒、ムスリム住民などをターゲットにした攻撃を繰り返しており、数千人以上の民間人が犠牲となり、何十万人もの人々が避難を余儀なくされている。

攻撃の手法は爆弾テロ、襲撃、誘拐、そして残虐な処刑などであり、地域の治安は著しく悪化している。

ISCAPはモザンビーク北部のリソース豊富な地域を狙っており、特に天然資源の取り込みを目指していると考えられている。

石油や天然ガス、鉱鉱資源が豊富なこの地域では、過激派グループが資金源を確保するために、武力を使って企業や採掘現場を支配することを試みている。また、密輸や人身売買、麻薬取引にも関与しており、これらが資金源となっている。

ISCAPの目的は、イスラム法(シャリア)の支配を広げ、政府を転覆させることにある。そのため、モザンビーク政府や地域の治安機関との衝突が続いており、政府側はアフリカ連合や国連の支援を受けて反撃を行っている。しかし、ISCAPは高い機動力を持ち、ゲリラ戦を得意としているため、反撃は容易ではない。

さらに、ISCAPはその活動範囲を広げ、近隣諸国にも影響を与えている。特に、ナイジェリアの「ボコ・ハラム」やソマリアの「アル・シャバブ」との連携が強化されており、これにより過激派グループ同士の協力体制が形成されている。これらのグループは、互いに情報交換を行い、資金や戦闘技術の共有を行っているため、地域全体で過激派の脅威が増大している。

ISCAPの台頭は、中央アフリカにおける治安と安定を脅かし、地域住民に対する恐怖と不安を引き起こしている。また、国際社会もこの問題に注目しており、特にモザンビーク政府の支援を強化し、国連平和維持活動(PKO)を通じて治安回復を目指す取り組みが進められている。

しかし、ISCAPの活動は予測不可能であり、地元住民や国際的な支援団体にとっては依然として深刻な課題となっている。

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