ギニア、国民投票キャンペーン最終日、野党不在、9月21日投票
コナクリ市内にはドゥンブヤ氏を称賛するポスターがあちこちに貼られ、コーランの朗読会、レゲエコンサート、祈祷会なども開催された。
と護衛の兵士たち(Getty-Images).jpg)
アフリカ西部・ギニアで18日、憲法改正の是非を問う国民投票のキャンペーンが最終日を迎え、多くの市民が首都コナクリなどで軍事政権を応援した。
3年前のクーデターでコンデ(Alpha Conde)前大統領を打倒し、暫定大統領に就任した陸軍特殊部隊のドゥンブヤ(Mamady Doumbouya)大佐はこのキャンペーンを公正・公平・平和的と称賛した。
投票は9月21日に行われる。
コナクリ市内にはドゥンブヤ氏を称賛するポスターがあちこちに貼られ、コーランの朗読会、レゲエコンサート、祈祷会なども開催された。
市中心部の商店街にはドゥンブヤ氏の顔がプリントされたTシャツやマグカップが販売され、多くの支持者がドゥンブヤTシャツを着て投票を呼びかけた。
ただ一つ欠けていたものがある。それは野党の存在だ。全ての選挙ポスターやイベントは市民に一つの投票行動を促している。「賛成しよう」だ。
軍政は先月末、この国民投票に先立ち、コンデ氏率いる政党を含む、主要3野党の活動を禁じた。
軍政に忠誠を誓う政党は新憲法の内容を宣伝することができる。反対した場合は逮捕される恐れがある。
反対票がカウントされるかどうかは不明だ。
ドゥンブヤ氏は22年に2年間の民政移行を提案。24年12月31日までに民主的な選挙を行うと約束していたが、うまくいかなかった。
軍政が期限を守らなかった結果、コナクリで今年1月に反対派の抗議デモが行われた。
軍政は昨年7月、新憲法の草案を提示。ドゥンブヤ氏も大統領選に立候補できる内容となっている。
軍政は昨年10月、53の政党を解体し、与党と主要野党を監視下に置いた。
大統領選挙は今年12月に実施される予定だ。
ギニアは過去数十年にわたって政治的不安定と人権問題に直面してきた国である。ギニアは独立以来、数回にわたる軍事クーデターや民主化運動を経てきたが、政治情勢や人権状況は依然として厳しいものがある。
1. ギニアの政治状況
1.1 独立後の政治的背景
ギニアは1958年にフランスから独立を果たした。独立後の初代大統領、セク・トゥーレ(Sékou Touré)は社会主義的な政治体制を採り、国家の中央集権化を進めた。しかし、トゥーレ政権は非常に権威主義的で、政治的な抑圧が続いた。反対派に対する弾圧や人権侵害が行われ、多くの政治犯が投獄されるなど、ギニアはその後数十年にわたって独裁体制に苦しむこととなる。
1.2 軍事政権とクーデター
トゥーレが1984年に死去すると、その後のギニアは再び政治的不安定に見舞われた。トゥーレの死後、軍部が政権を掌握し、コンテ大佐が指導者として登場した。コンテは初めてギニアで軍事政権から民間政権への移行を行うことを約束したが、実際には権力の掌握を続け、特にその後の1990年代には経済危機や社会不安が深刻化した。
その後もギニアは数回の軍事クーデターに見舞われ、政権交代が繰り返された。最も注目すべきは2008年、コンテの死後、ギニア軍が再び政権を奪取したことである。この際、カマラ大佐が権力を掌握し、政治的混乱を引き起こしたが、国際社会の圧力と国内の反発を受けて彼は失脚することとなった。
1.3 民主化と現在の政治
2010年、ギニアは長年の軍事政権を経て、初の民主的選挙を実施した。この選挙でディアロ氏が当選し、民主的な政府の樹立が期待された。しかし、ディアロ政権も権力の集中と汚職問題に直面し、政治的安定を維持することが難しかった。
2015年には、長期政権を続けたディアロ氏が再選を果たすものの、彼の政権の終焉とともに再び政治的混乱が広がった。ギニアでは政治的な対立が深刻化し、選挙制度や民主主義に対する不信感が広がった。特に、ディアロ政権下での選挙不正や人権侵害が問題視され、国民の間で不満が高まった。
2020年にはディアロ氏が3選を目指して憲法改正を行い、これが大規模な抗議行動を引き起こした。ギニア国内での政治的な対立は続き、民主主義の定着には依然として困難が伴っている。
1.4 軍事クーデターと現在の政権
2021年9月5日、ギニアの軍は再びクーデターを起こし、コンデ氏を拘束した。コンデ氏は改憲により再選を果たしたが、これが反発を招き、最終的に軍部による政権交代を招いた。新たに権力を握ったのは、ドゥンブヤナ大佐であり、軍事政権を樹立した。
軍事政権は政治的安定をもたらすことを宣言したものの、国民の間には依然として不信感が漂っており、国際社会からも厳しい視線が送られている。ギニアの政治情勢は非常に不安定であり、今後の展開には不確実性がつきまとう。
2. ギニアの人権状況
ギニアの人権状況は長年にわたる政治的抑圧と軍事政権の影響を受けている。特に言論の自由、集会の自由、そして政治的活動に対する制約が問題視されてきた。
2.1 言論の自由と報道の自由
ギニアでは言論の自由が制限されていることが多い。政府や軍事政権に対する批判的な意見は弾圧され、報道機関やジャーナリストが脅迫されたり、拘束されたりする事例が頻発している。特に、2010年から2020年にかけて、反政府的なメディアに対する取り締まりが強化された。また、インターネットの自由も制限され、特に抗議活動が高まると、インターネットアクセスが遮断されることがしばしばある。
2.2 政治的な自由と市民的自由
ギニアでは政治活動に対する制約が厳しく、市民が自由に政治活動を行うことが難しい状況が続いている。特に、反政府デモや抗議行動に対する弾圧が行われ、デモ参加者や活動家が警察や軍によって暴力的に取り締まられることが多い。2019年には政治的対立を背景に大規模な抗議デモが発生し、治安部隊がデモ隊に対して武力を行使する場面も見られた。これにより、多くの市民が負傷し、数名が死亡する事態となった。
2.3 少数民族と女性の権利
ギニアでは少数民族の権利が十分に保護されていない。特にピグミーやフォラベ、マリンケ族などの少数民族は社会的・経済的に差別を受けており、教育や医療などの基本的なサービスへのアクセスが制限されている。また、女性の権利も制約されており、特に地方では伝統的な慣習が女性に対して不平等な扱いを強いている。性別による暴力や性的虐待の問題も依然として深刻であり、女性の社会進出には大きな障壁がある。
2.4 経済的・社会的権利
ギニアの経済は未だに貧困層が多く、基本的な社会サービスや福祉が十分に提供されていない。教育や医療のアクセスが限られており、特に農村部ではその状況が深刻である。政府による支援策は不足しており、国民の生活水準の向上には時間がかかると予想されている。特に、政治的不安定と経済的な課題が絡み合っているため、改善は難しい状況が続いている。
結論
ギニアは独立以来、政治的な不安定と人権侵害に悩まされてきた。軍事政権と民間政権が交代を繰り返す中で、政治情勢は依然として不安定であり、民主主義の確立には長い道のりが必要である。人権状況も深刻で、特に言論の自由、集会の自由、女性や少数民族の権利が保障されていない。