SHARE:

ギニアビサウ大統領、任期満了も職務継続、緊張高まる

野党はこれを違法な権力掌握と非難し、市民に抗議するよう呼びかけている。
2021年11月11日/フランス、パリで開催された平和フォーラム、ギニアビサウのエンバロ大統領(Michel Euler/AP通信)

アフリカ西部・ギニアビサウのエンバロ(Umaro Sissoco Embalo)大統領の任期が9月4日深夜に満了した。

しかし、暫定政権は発足せず、エンバロ氏は11月23日の総選挙まで職に留まるとみられる。

ギニアビサウの憲法では大統領の任期は5年で、最大2期までと定められている。野党はエンバロ氏の任期は2月27日までと主張しているが、最高裁は9月4日まで継続すべきと判断した。

しかし、エンバロ氏は今年初めに大統領選を含む総選挙の日程を11月末に設定。自身の1期目の任期はそれまで継続すると表明し、緊張をさらに高めた。

野党はこれを違法な権力掌握と非難し、市民に抗議するよう呼びかけている。

一部の専門家はクーデターにつながる恐れがあると警告している。

議会(一院制、定数102)は23年に解散したものの、議会選挙を行えずにいた。

ギニアビサウは1974年の独立以来、何度も軍事クーデターに見舞われ、長い間政情不安に悩まされてきた。

エンバロ氏は2019年の大統領選で初当選、20年2月末に就任し、これまでに2度、クーデター未遂に直面している。

西アフリカでは近年、軍事クーデターが多発しており、2020年以降、マリやブルキナファソなどで8つの軍事政権が誕生している。

西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)は3月、エンバロ氏の警告を受け、代表団を退去させた。

地元メディアの世論調査によると、エンバロ氏の支持率は野党候補に大差をつけている。

ギニアビサウの人口は約200万人、その多くが農業に従事している。

主要作物はカシューナッツで、輸出の中心を占める。

1973年にポルトガルから独立、その後も政情は不安定で、クーデターや政変が繰り返されてきた。

民主化の努力は続いているものの、汚職や経済停滞、麻薬の中継地化など課題が多い。教育や医療など社会インフラの整備も遅れており、国際支援に依存する面が大きい。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします