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ギニア大統領選挙、ドゥンブヤ大佐の勝利ほぼ確実、クーデター以来初の選挙

ドゥンブヤ氏は特殊部隊出身の実力者で、2021年にコンデ政権を打倒した後、文民統治への移行を約束した。
ギニア陸軍の特殊部隊を率いるドゥンブヤ大佐(Getty Images)

アフリカ西部・ギニアで12月28日、大統領選挙が行われる。2021年のクーデター後初の大統領選となるが、軍事政権を率いる陸軍特殊部隊の司令官ドゥンブヤ(Mamady Doumbouya)大佐(暫定大統領)が当選する可能性が高く、政権の正統性を強固にする見込みだ。

ドゥンブヤ氏は特殊部隊出身の実力者で、2021年にコンデ政権を打倒した後、文民統治への移行を約束した。9月には新憲法の是非を問う国民投票が行われ、軍関係者の立候補制限を撤廃するとともに、大統領の任期を7年に延長し上院を設置するなどの改正が承認された。この改正により、ドゥムブヤ氏は選挙への立候補が可能になった。

今回の選挙にはコンデ(Alpha Conde)前大統領を含む主要な野党指導者が参加せず、政権交代を実現できる対抗馬は不在となっている。そのため、ドゥンブヤ氏はよく知られていない候補と争う形となり、選挙戦は一方的な展開となった。

軍当局はほぼ全ての政党を監視下に置き、反対派を弾圧。国連などの国際機関は言論や集会の自由が制約され、選挙キャンペーンが抑圧的な状況にあったと懸念を示している。また、主要野党が排除されたことに対して批判が出ており、選挙の公正性に対する疑問が国内外から投げかけられている。

報道によると、登録有権者は約670万人、投票率は高くなると予想されるが、野党は当局発表の数字に異議を唱えている。選挙管理当局は投票率が80%を超える見通しと報告している。

経済面では、ギニアは世界最大級のボーキサイト埋蔵量を有し、また未開発の豊富な鉄鉱石資源を抱える。軍政は最近、シマンドウ(Simandou)鉄鉱石プロジェクトなど大規模資源開発を進め、資源ナショナリズムを掲げる政策が一定の支持を集めている。ただし、貧困や失業、社会インフラの整備不足といった構造的な課題も深刻であり、選挙結果が国内の社会・経済情勢にどのような影響を与えるかが注目される。

選挙結果は投票から数日以内に発表される見込みである。現地では、ドゥンブヤ氏が他の候補を圧倒すると予想され、一部では軍と政治の関係が今後も継続するとの分析もある。これに対し、国際社会は選挙プロセスの透明性と民主的正当性の確保を求めており、ギニアの政治的安定と民主主義の将来像が改めて問われる選挙となっている。

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