ギニアビサウで軍事政権発足、将軍が統治を宣言
暫定大統領はホルタ・ウンタ・ナマン将軍が務める。
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アフリカ西部・ギニアビサウで27日、軍が暫定政権を発足させた。
暫定大統領はホルタ・ウンタ・ナマン(Horta Inta-A Na Man)将軍が務める。
ナマン氏は1年間の移行期間を伴う軍政による統治を宣言した。
軍報道官は前日、国営テレビに出演し、国の全権を掌握したと宣言。大統領官邸付近で銃声が聞こえた後だった。
同国では11月23日に大統領選が行われたばかり。エンバロ(Umaro Sissoco Embalo、53歳)大統領はコメントを出していない。
エンバロ氏は過半数を獲得したと主張。これに対し、ライバルの野党候補フェルナンド・ディアス(Fernando Dias)氏も勝利を主張していた。
軍は選挙結果が操作されようとしていたとの名目で介入したと発表。国営テレビを通じ「国家秩序回復最高軍事司令部(High Military Command for the Restoration of Order)」の設立を宣言し、選挙の停止と国境封鎖、全機関を停止した。
25日深夜から26日にかけ、ビサウの官邸付近や選挙管理委員会オフィス近辺で銃声が報告され、その後治安部隊が市街地を制圧したとされる。
エンバロ氏は一時拘束されたと伝えられ、対立候補や主要政党の幹部も拘束されたとする報告もある。
軍は「政治勢力が状況の悪化を防げなかったことが介入を促した」と説明している。
一方、ディアス氏は軍による権力掌握を「大統領選挙での敗北を回避するための偽装クーデター」と批判。市民に対して抗議と選挙結果の公表を求めるよう呼びかけている。
国際社会からの非難も相次いでいる。アフリカ連合やECOWAS(西アフリカ諸国経済共同体)は、軍の政権奪取に強い懸念を示し、憲法秩序の即時回復と拘束された指導者たちの解放を求めている。
ギニアビサウは1974年のポルトガルからの独立以来、複数のクーデターや未遂を経験してきた「クーデター常習国」であり、今回の軍事介入はこの繰り返される不安定な政治の最新の事例である。
現在、ビサウは重武装兵の厳戒体制下にあり、国民の多くは自宅に留まっている。ビジネスや公共交通の多くは停止しており、実質的に軍政の支配が続いている。
暫定政権がどのように国を運営し、選挙や民主主義をどう扱うか、国内外の関心が集まっている。
