◎発電量は645万キロワット、2023年に運用を開始する予定。
2021年9月26日/エチオピア、ベニシャングルグムズ地方、大エチオピア再生ダム(Getty Images/AFP通信)

2月20日、ナイル川の主流のひとつに建設された大エチオピア再生ダムが発電を開始した。

大エチオピア再生ダムの発電能力はアフリカ大陸の水力発電所で最大、世界でも7番目の規模になる。発電量は645万kW、2020年7月に貯水を開始し、2023年に運開する予定である。

国営メディアは20日午前にアビィ・アハメド首相が主催するイベントを放送し、ダムの13のタービンのひとつが発電を開始したと発表した。

アビィ首相は演説の中で「エチオピアを止めることはできない」と述べ、工事関係者の労をねぎらった。

ダムのプロジェクトマネージャーであるキフレ・ホロ氏はソーシャルメディアに、「発電を開始しただけで工事が完了したわけではない」と投稿している。

工事関係者によると、ダムの完成度は83%ほどで、まだ多くの付帯工事が残っているという。

このダムはエチオピア、スーダン、エジプト間の緊張を高める原因となってきた。エチオピアは貯水を開始しているが、水を貯めるスピードや干ばつが発生した際の取り決めなどは未解決のままである。

スーダンとエジプトは干ばつが発生した際、下流への放水量が制限されることで深刻な水不足が発生すると懸念しており、紛争に備え拘束力のある法的な合意を求めている。

エジプト外務省は19日の声明で、「ダムの発電開始は3カ国が2015年に署名した原則合意に違反している」と述べたが、違反の詳細は明らかにしていない。

しかし、アビィ首相は、ダムはエジプトとスーダンにも大きな利益をもたらすと主張した。「エチオピアは温室効果ガスを排出しないクリーンダムの電力をスーダンとエジプトを通じて欧州に輸出したいと思っています。私たちは協力の道を歩むべきです」

建設工事は2011年に着工したものの、資金の横領は設計変更などの影響で工期は大幅に延長されている。

エチオピア政府は昨年、4つある分水口のうち3つを閉鎖すると突然発表し、スーダン政府を震え上がらせた。

この結果、ナイル川下流の水位は急速に下がり、スーダンの灌漑や水供給を支えているポンプ場の運用に影響が出たと伝えられている。

国連安全保障理事会は膠着状態を打破するための3カ国協議を何度も開催しているが、現時点で大きな進展は見られていない。

大エチオピア再生ダム

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