◎同ダムに関連する3ヵ国交渉(エチオピア、エジプト、スーダン)は昨年11月に決裂。当局者は地域一帯を取りまとめるアフリカ連合(AU)に仲介を依頼していた。
1月3日、エジプトとスーダンの当局者は声明で、エチオピアがナイル川に建設している大エチオピア再生ダムの交渉を再開すると述べた。
同ダムに関連する3ヵ国交渉は昨年11月に決裂。当局者は地域一帯を取りまとめるアフリカ連合(AU)に仲介を依頼していた。
交渉の主要議題は「ダムの充填と運用」だと伝えられている。
エジプトとスーダンは、深刻な干ばつが発生した際、ダムの下流に放出される水量が限定されることで深刻な水不足が発生すると懸念している。
エチオピアはプロジェクトの最終段階で拘束力のある仲裁を拒否し、「水量の調整は3ヵ国間の協定で決まる」と主張した。
エジプトの外務省の報道官は声明で、「3カ国の外相と灌漑(かんがい)相が1月3日のオンライン会議で交渉再開に合意した」と述べた。
エチオピアの灌漑相によると、交渉の主催者は南アフリカ共和国で、アメリカのオブザーバーとAUの専門家も会議に同席するという。
一方、ダムの運用の問題点を指摘したスーダンの灌漑相は、「1月10日の交渉(会議)前にAUの専門家およびオブザーバーと別の会議を開催する」と発表した。
11月の交渉決裂後、スーダンは南アフリカが呼びかけた会議への出席を拒否し、「エチオピアの充填と運用に関するアプローチで3か国が合意に至ることはない」と主張した。
スーダンのヤセル・アッバス灌漑相は当時、「AUは交渉を促進し、三者間のギャップを埋めるために尽力しなければならない」と述べた。
アフリカ最大の水力発電ダムは、3カ国の関係を著しく悪化させた。
エジプト政府はダムを実存的脅威と呼び、ナイル川の水のシェアに深刻な影響を与えると懸念を表明した。
エジプト国内の農業従事者数は1億人以上と伝えられており、そのほぼ全てがナイル川の水に依存している。
隣国スーダンもエジプトと同じくダムの問題点を指摘し、公平な水の供給を求めている。
一方、エチオピア政府は建設費46億ドルの巨大ダムが何百万もの人々を貧困から救うと主張し、交渉の速やかな再開を呼びかけていた。