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ガーナ25年第2四半期GDP+6.3%、サービス業が堅調

ガーナの経済は資源輸出を軸に一定の成長を遂げながらも、構造的な脆弱性と課題を抱えている。
アフリカ西部・ガーナ、首都アクラの通り(Getty Images)

アフリカ西部・ガーナの統計局が10日、最新の経済統計を公表した。

それによると、同国の25年第2四半期(4~6月)の経済成長率は前年同期比6.3%増、サービス業が堅調であった。

統計局のイドリス(Alhassan Iddrisu)局長は記者会見で、「金融・保険・貿易・教育を含むサービス部門が前年同期比2%増から9.9%増に急伸した」と説明。「当四半期の成長に最も大きく寄与し、6.3%のうち4%分を支えた」と述べた。

非石油部門GDPも7.8%増と成長を牽引。農業は拡大した一方、石油部門は縮小した。

ガーナは22年に債務不履行(デフォルト)に陥り、痛みを伴う債務再編を余儀なくされたが、最悪の危機からは脱しつつある。通貨セディは今年に入り対ドルで20%以上上昇している。

25年8月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比11.5%増、8カ月連続で前月を下回り、21年10月以来の低水準となった。

ガーナは西アフリカ地域において比較的安定した発展を遂げてきた国家の一つである。同国は豊富な天然資源を背景に成長を続け、特に金、カカオ、原油が主要輸出品となっている。金は古くから経済の柱であり、現在でも外貨獲得の最大の源泉である。また、ガーナは世界有数のカカオ生産国であり、隣国コートジボワールとともに国際市場を支配している。2010年代以降は沖合油田の開発により石油輸出も拡大し、経済構造の多角化が進んだ。

しかし、こうした資源依存型の成長は同時に脆弱性を抱える。国際価格の変動に左右されやすく、財政収入や経常収支は不安定である。特に原油価格の下落時には財政赤字や通貨セディの下落が深刻化し、インフレ圧力が高まることが多い。農業も依然としてGDPや雇用の大部分を占めているが、近年は都市化とサービス業の拡大が進み、経済構造の変化が見られる。

また、ガーナは域内において民主主義体制が比較的安定しており、投資環境の改善に取り組んでいる。外国直接投資は鉱業や石油開発に集中してきたが、製造業やICT分野への進出も見られるようになった。首都アクラを中心にスタートアップやデジタル金融の動きも強まり、経済の近代化に寄与している。ただし、電力供給の不安定さやインフラ不足、汚職問題は依然として投資拡大の障害となっている。

さらに、公共債務の増大が大きな課題である。資源価格の変動やインフラ投資の拡大によって財政赤字が累積し、2020年代初頭には対外債務危機が深刻化した。国際通貨基金(IMF)の支援を受け、財政健全化と構造改革を進めているが、国民生活には物価上昇や失業率の高さといった影響が及んでいる。貧富の格差や地域間格差も依然として大きな社会問題である。

ガーナの経済は資源輸出を軸に一定の成長を遂げながらも、構造的な脆弱性と課題を抱えている。今後は資源依存から脱却し、農業の高付加価値化、産業の多様化、人材育成を進めることが持続的成長に不可欠である。特に若年人口が増加する中で、雇用創出と教育投資をいかに実現するかが経済の将来を左右するといえる。

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