ガーナ大統領、奴隷制賠償推進に向けアフリカ指導者に団結呼びかけ
大西洋奴隷貿易では15世紀から19世紀にかけて、少なくとも1250万人以上のアフリカ人がヨーロッパ船により拉致・強制移送され、奴隷として売買されたとされる。
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アフリカ西部・ガーナのマハマ(John Mahama)大統領は20日、国際的な専門家らと会談し、アフリカ諸国の指導者が一丸となって大西洋奴隷貿易および植民地主義に対する補償(レパレーション)要求を推進するよう求めた。
訪問団はアフリカ、カリブ、ヨーロッパ、ラテンアメリカ、米国の専門家で構成され、アフリカ連合(AU)が掲げる補償アジェンダへの支持を広げる役割を果たすべきだと強調した。
AUは今年2月、奴隷制と植民地主義に対する集団的対応策を策定するための「統一ビジョン」創出を目指す取り組みを開始した。このアジェンダには経済的補償、過去の不正行為に対する公式な謝罪、政策改革などが含まれている。訪問団はこうした優先行動をマハマ氏に提示し、アフリカ全体で戦略的一貫性と団結が必要だと訴えた。
大西洋奴隷貿易では15世紀から19世紀にかけて、少なくとも1250万人以上のアフリカ人がヨーロッパ船により拉致・強制移送され、奴隷として売買されたとされる。この歴史的事実に基づく補償要求は、今日の人種差別や社会的不平等の遺産に対応するために必要だと補償論者は主張する。
ガーナは補償問題の先頭に立ってきた国の一つであり、マハマ氏自身も以前から補償に関する国際的議論を強く支持してきた。訪問団は外相や国会議員などとも意見を交わした。彼らは各国指導者が「快適さよりも勇気」を選び、補償を求める市民社会やアフリカおよびディアスポラのコミュニティと共に立つよう促すべきだと述べた。
一方で補償要求をめぐる国際的反発も依然として強い。特に多くの欧州指導者は、歴史的な過ちに対する補償の議論にすら消極的であり、現代の国家や制度が過去の罪の責任を負うべきではないと主張している。12月初旬にアンゴラの首都ルアンダで開かれたEU・AU首脳会議では、奴隷制と植民地主義が引き起こした甚大な苦痛を認めつつも、補償そのものには踏み込まなかった。
この会議ではガーナの副大統領が国連総会に提出を準備している奴隷制を「人類に対する最も重大な犯罪」と正式に認定する決議案へのEUの支持を求めたことも報じられている。
補償運動は国際社会の人権や歴史的正義に関する議論の中心テーマとなりつつあるが、その実現には依然として多くの政治的、法的障壁が存在する。マハマ氏とAUは補償を単なる金銭的要求ではなく歴史的真実の承認と未来への道筋として位置づけ、アフリカとディアスポラの連帯を基盤にした戦略的な推進を試みている。
