◎今回の大統領選挙は数十年ぶりの民主的な選挙と見なされている。
12月5日、西アフリカのガンビアで大統領選挙が行われ、現職のアダマ・バロウ大統領が有効票の過半数を獲得し再選を決めた。
選挙管理委員会によると、バロウ大統領は有効票の約53%を獲得したという。野党の主要候補ウサイヌ・ダルボエ氏は約28%だった。
今回の大統領選挙は数十年ぶりの民主的な選挙と見なされている。独裁者のヤヒヤ・ジャメ元大統領は2016年の選挙でバロウ氏に敗れたが、選挙結果を受け入れず非常事態を宣言し、紆余曲折の末、赤道ギニアに亡命した。
ジャメ元大統領は1994年のクーデターで政権を奪取し、同性愛者の弾圧、魔女狩り、エイズの偽治療薬開発などで注目を集めた。2009年の魔女狩り事件の犠牲者は1,000人以上と伝えられている。
ジャメ元大統領は赤道ギニアに亡命したにもかかわらず、今でも一定の影響力を持っており、選挙期間中、バロウ大統領に投票しないよう有権者に呼びかけていた。
しかし、選挙管理委員会は5日午後、バロウ大統領の勝利を宣言した。委員会の議長は声明で、「アダマ・バロウは透明かつ公正な選挙で勝利した」と述べた。
委員会によると、集計作業は全て終了し、バロウ大統領は457,519票、ダルボエ氏は238,233票、ガンビア道徳議会党のママ・カンデー氏は105,902票を獲得したという。
委員会のデンバ・サバリー議員も選挙を透明かつ公正と称賛し、「ガンビアは民主的な選挙を確立した」と述べた。
しかし、ダルボエ氏を含む4人の野党候補は5日の記者会見で結果に異議を唱えた。野党陣営によると、集計作業は予定より「ひどく遅れた」という。
バロウ大統領の選挙チームはAP通信の取材に対し、野党には異議を申し立てる権利があると述べたうえで、「不正があったと主張するのであれば、その証拠を提出しなければならない」と強調した。
ガンビアは識字率が低いため、独自の投票システムを採用している。現地メディアによると、有権者は候補者の顔写真が貼られた投票箱に専用のビー玉を入れるという。
選挙管理委員会の声明発表後、首都バンジュールの中心部にはバロウ大統領の再選を祝う人々が押し寄せ、お祭り騒ぎになった。
AP通信の取材に応じた男性は、「バロウ大統領は平和を愛する男です」と語った。「私たちは民主的な選挙で大統領を選びました。野党は結果を受け入れなさい」