◎仏軍はマリ北部サヘル地域で活動するイスラム過激派組織に対する「バルハン作戦」を2014年に開始した。
フランス国防省は15日、西アフリカのマリに駐留していた仏軍部隊の撤退任務が完了したと発表した。
国防省は声明で、「最後のバルハン部隊が現地時間13時にマリ国境を越え、ニジェールに入った」と述べている。
仏軍はマリ北部サヘル地域で活動するイスラム過激派組織に対する「バルハン作戦」を2014年に開始し、マリ、チャド、モーリタニア、ニジェール、ブルキナファソ軍を支援してきた。
国防省はマリに9年間駐留した兵士に謝意を示したうえで、「部隊はニジェール基地で再編作業を開始する」とした。
フランス大統領府も15日に声明を発表。「フランスはサヘル地域、ギニア湾、チャド湖周辺において、全てのパートナーと協力してテロとの戦いに引き続き尽力する」と表明した。
マクロン(Emmanuel Macron)大統領は今年2月、マリの軍事政権との関係が悪化したことを受け、撤退任務を開始すると発表した。
これにより、サヘル地域における仏軍の兵力は年内に半減し、2500人となる予定。部隊はニジェール基地に駐留し、マリ国境には250人が配備される。
チャド軍は活動を継続する。フランスはブルキナファソの首都ワガドゥグーに配備している部隊の維持を希望している。
マリとEUの関係は、マリの軍事政権が復活したことや、マリ軍がロシアの民間軍事会社「ワグネル」と契約を結んだことを受け、劇的に悪化した。
仏軍は約4000個のコンテナと数百台の装甲車を含む約1000台の車両をマリ領内から撤退させた。
一方、マリ北部を含むサヘル地域では過激派の暴力が激増し、マリ軍とワグネルはその対処に苦労している。
AFP通信などによると、マリ、ニジェール、ブルキナファソで今年過激派に殺害された民間人は7月末時点で2000人を超え、昨年の通年記録を上回ったという。
仏軍はバルハン作戦で兵士59人を失った。