◎EUは紛争が始まった直後、エチオピア軍による広範な虐待を理由にエチオピア政府への支援を停止した。
フランスとドイツの外相が12日、エチオピアの首都アディスアベバを訪問し、アビー・アハメド(Abiy Ahmed)首相と会談した。
両外相はEUとエチオピアの関係を正常化する条件として、北部ティグライ州で発生した紛争の説明責任を果たすよう求めた。
ベーアボック(Annalena Baerbock)独外相は記者会見の中で、「組織的な性的暴行やレイプが横行したと報告を受けている」と語った。
またベーアボック氏はアビー氏に対し、「政府には紛争で起きたことを公にし、説明責任を果たす義務がある」と要請した。
エチオピア軍とティグライ州を実行支配するティグレ人民解放戦線(TPLF)の紛争は2020年11月に本格化し、民間人数万~数十万人が死亡、数百万人が国内避難民となり、数万人が近隣諸国に逃亡したと推定されている。
EUは紛争が始まった直後、エチオピア軍による広範な虐待を理由にエチオピア政府への支援を停止した。
政府とTPLFは昨年11月に和平協定を結び、▽TPLFの武装解除▽ティグライ州における連邦政府の権限回復▽ティグライ州への人道支援輸送の再開などが進められている。
和平協定には紛争を精査する条項も含まれている。
コロナ(Catherine Colonna)仏外相は「和平協定を履行し、説明責任を果たすことがEUとエチオピアの関係正常化の条件である」と語った。
またコロナ氏は「正義なくして平和はありえない」と強調した。
両外相は会見後の共同声明で、「両国はエチオピアが協定を履行するのであれば、支援を提供する用意がある」と表明した。
国連によると、ティグライ州では紛争中、大量虐殺、性的虐待、レイプが横行していたという。
この紛争は近隣のアファール州とアムハラ州にも影響を与え、エチオピアの隣国エリトリアの部隊も虐殺に関与したと告発されている。
エチオピア政府は和平協定の中で北部地域から「外国軍」を撤退させることに合意したが、この地域で活動する人権団体によると、エリトリア軍はティグライ州内にとどまっているという。
エチオピア司法省は以前、戦争犯罪を調査・起訴する作業部会を設置すると表明したものの、調査が進んでいるかどうかは不明である。
一方、政府は国連の専門家委員会による調査を阻止したことで批判されている。
海外メディアはティグライ州への立ち入りを禁じられているため、現場の実態を正確に把握することは困難である。
エチオピア首相府は12日、「国連機関に移行期の協議プロセスを支援するよう要請し、政府が任命した委員会と並んで紛争地域に監視員を配置するよう求めた」と声明を発表した。