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スーダン・ダルフール地方で大虐殺、準軍事組織RSFが暴走

RSFは今週、ダルフール地方における国軍の最後の拠点、北ダルフール州エルファーシルの軍司令部を制圧した。
スーダン、西部ダルフールの避難所(Getty Images/AFP通信)

アフリカ北東部・スーダンのダルフール地方で準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」が暴走し、数十万人が避難を余儀なくされている。

人権団体「スーダン医師中央委員会」は29日、RSFがアフリカ系部族を虐殺していると非難した。

RSFは今週、ダルフール地方における国軍の最後の拠点、北ダルフール州エルファーシルの軍司令部を制圧した。

現地メディアによると、エルファーシルの市民数万人が何マイルも歩いて近くの難民キャンプに逃げ込んだという。

AP通信は支援当局者の話しとして、「避難民は道路に遺体が散乱する中、死に物狂いでここに避難してきた」と伝えている。

ロイター通信はRSFの戦闘員が病院に入院していた400人以上の患者を処刑したと報じた。

大虐殺への懸念が高まる中、国連安全保障理事会はスーダン情勢に関する緊急会合を開催した。

国連人道問題調整室のトム・フレッチャー(Tom Fletcher)氏はスーダン問題で安保理が早期に行動しなかったことを批判した。

軍事政権はエルファーシル陥落についてコメントしていない。

軍政とRSFは23年4月から首都ハルツームなどの支配権を争っている。

この内戦は世界最悪の人道危機に発展。人口の半数以上にあたる約2500万人が飢餓に直面し、数万人が死亡、1400万人以上が避難を余儀なくされ、うち約500万人が周辺国に逃れたと推定されている。

激戦が続くダルフール地方では数千人が餓死者したという情報もある。被害の全容は明らかになっておらず、調査が進む目途も立っていない。

国連は23年4月~24年6月の間にハルツームだけで2万6000人以上が死亡。さらに数千人が病気や栄養失調などで死亡したと推定している。

正確な死傷者数は明らかになっていないが、昨年公表されたデータによると、開戦から14カ月間でハルツームだけで6万1000人が死亡した可能性がある。

RSFはこの1年間、ダルフールの中で唯一支配下にないエルファーシルへの攻撃を続けてきた。

エルファーシルはハルツームの南西800キロに位置し、ダルフールにおける軍政の最後の主要拠点になっていた。RSFは24年5月からエルファーシルを包囲していた。

RSFは今夏に樹立した新政府「スーダン建国同盟指導評議会(TASIS)」の拠点をエルファーシルと主張している。

国連、援助団体、生存者らは、RSFがエルファーシルを占領した後、広範囲にわたる殺害について語っている。

国連のスーダン調査団は30日の声明で、「初期調査では、アフリカ系民族を標的とした処刑、性暴力、追放が起きている」と指摘した。

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