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南アフリカと中国、新たな貿易協定締結へ、トランプ関税に対抗

中国と南アは6日、将来の包括的貿易協定に向けた枠組み合意に署名したと明らかにした。
南アフリカの国立公園、キリン(Getty Images)

南アフリカ共和国は米国による関税措置を受け、経済の重心を中国との貿易関係強化へとシフトさせている。中国と南アは6日、将来の包括的貿易協定に向けた枠組み合意に署名したと明らかにした。これにより、一部の南ア産品、例えば果物などを中国市場へ無税で輸出するための交渉が本格化する見込みであり、南ア政府は協定を3月末までに最終化することを目指しているという。

合意を受けて中国は南ア国内への投資機会を拡大する意向を示しており、自動車販売や資源分野への関心が強い。南ア国内で中国製車の市場シェアは近年急速に拡大し、これを背景に中国企業の進出も活発化している。南ア政府は中国との協力が同国の鉱業、農業、再生可能エネルギー、テクノロジーなど多岐にわたる産業分野に利益をもたらすとの見方を示している。

一方で、この動きの背景には米国との貿易摩擦がある。米国はトランプ政権の「相互関税」政策に基づき、南アからの一部輸入品に30%の関税を課している。これは世界でも高い水準の関税率で、南アはこれを改善するため米側と交渉を継続しているものの、関係は冷え込んだままだ。トランプ政権は政治的な対立や外交方針の違いを理由に南アを批判し、G20首脳会合への同国の参加を拒否するなど、緊張が続いている。

このため南アは経済の多角化を図るべく、中国との関係を重視する姿勢を明確にしている。中国は既に南アにとって最大の貿易相手国であり、輸出入の両面で米国を上回る存在となっている。中国の影響力はアフリカ大陸全体に拡大し、希少鉱物など高付加価値資源の採掘でも主導的な役割を果たす。こうした状況で多くの国が米国以外の市場やパートナーを模索する中、南アの動きは欧米中心の貿易構造の変化を象徴しているとの指摘もある。

中国側はアフリカとの貿易協定拡大に積極的で、既に他のアフリカ諸国と同様の協議を進めている。南ア政府は「友好的で実務的かつ柔軟な形で中国との協力を進めることを期待する」と声明を出し、両国の経済連携強化に前向きな姿勢を強調した。

こうした動きは、トランプ政権が進める保護主義的な関税政策への対抗策として、南アが経済面で多極化を図る一例として注目される。米国との関税交渉が今後どのような展開を見せるかは不透明であるが、当面は中国を中心とした経済協力の拡大が同国の主要戦略となる可能性が高い。

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