◎エチオピア政府は海外メディアを戦地周辺から締め出しているため、戦況はほとんど明らかにされていない。
12月21日、エチオピア北部周辺で国軍と対峙している反政府勢力の指導者は、戦闘員に前線から撤退するよう命じたと明らかにした。
北部ティグライ地域を支配するティグレ人民解放戦線(TPLF)の指導者、デブレツィオン・ゲブレミチャエル将軍は国連事務総長に宛てた書簡の中で、「ティグライ地域外に展開した部隊に自陣に戻るよう命じた」と述べた。
ゲブレミチャエル将軍は書簡の中で、ティグライ地域の上空を飛行禁止区域とし、エチオピアと隣国エリトリアへの武器禁輸を国連に求めた。
国連や主要メディアなどによると、エチオピア軍とエリトリア軍はTPLFを圧倒している可能性が高いという。国軍はティグライ地域に隣接するアムハラ州とアファール州の主要都市を奪還したと伝えられている。
世界で最も閉鎖的な国のひとつであるエリトリアはTPLFへの攻撃を否定しているが、米国を含む主要国はティグライ地域で行われたとされる大量虐殺にエリトリア軍が関与したと主張している。
国軍とTPLFの戦闘は2020年11月に本格化し、これまでに民間人数万人が死亡、数百万人が国内避難民になり、数万人が隣国スーダンに逃亡した。
国軍は昨年11月末にティグライ地域の大半をTPLFから奪取したが、TPLFは北部地域などで活動する反政府勢力と同盟を結んでティグライ国防軍(TDF)を結成し、6月の奇襲攻撃でティグライ地域の支配権を取り戻した。
その後、TDFはティグライ地域に隣接するアムハラ州とアファール州の大半を支配下に置き、さらに首都アディスアベバ近郊の都市に侵攻したと伝えられていた。アビィ・アハメド首相は先月末、最前線で指揮を執ると宣言し、出陣した。
TPLFの報道官であるゲタチュー・レダ氏は20日、ティグライ地域外からの撤退が完了したとツイートした。「私たちはアビィ・アハメドに圧力をかけ続けています」
エチオピア政府はTPLFの撤退に関する声明をまだ発表していない。
ティグライ地域の住民推定600万人は飢餓との戦いに直面している。
住民が地域のメディアを通じて行った最近の報告によると、国軍は先月、TPLFへの攻撃を激化させたが、TPLFの戦闘員は首都アディスアベバ近郊の都市でティグライ地域に対する「兵糧攻め」を解除するために戦っているという。
政府はティグライ地域につながる主要な幹線道路を占領し、人道団体の支援物資輸送を妨害していると伝えられている。
住民は報告の中で、「政府はTPLFの戦闘員が首都アディスアベバ周辺で生活するアムハラ民族を虐待したことに激怒している」と語った。
国際危機グループのアナリストであるウィリアム・デイヴィソン氏は20日、「国軍の戦力はUAE(アラブ首長国連邦)の協力で大幅に強化された可能性がある」と指摘した。「政府はUAE経由で中国とトルコの無人爆撃機(ドローン)を購入し、制空権を確保した可能性があります。TPLFは一方的に爆撃され、支配地域を放棄し、ひどく弱体化したように見えます...」
フランスの国営メディアなどは北部地域でドローン爆撃が行われたと報じているが、詳細は明らかにされていない。