◎国連はこの紛争について、ウクライナ侵攻をはるかに上回る死傷者が出ていると警告している。
エチオピア政府は1日、北部ティグライ州を実行支配するティグレ人民解放戦線(TPLF)との新たな協議を開始したと発表した。
政府報道官によると、政府とTPLFの代表で構成される合同委員会がティグライ州に創設され、TPLFの武装解除計画が話し合われたという。
エチオピア軍とTPLFの紛争は2020年11月に本格化し、民間人数万~数十万人が死亡、数百万人が国内避難民となり、数万人が近隣諸国に逃亡したと推定されている。
国連はこの紛争について、ウクライナ侵攻をはるかに上回る死傷者が出ていると警告している。一部の機関はわずか2年で30万~60万人が死亡したと推定しているが、正確な死傷者数は不明である。
政府とTPLFの代表は今月初めに停戦協定を結び、人道支援輸送やこの地域の武装解除について協議する委員会を設立することなどにも合意した。
国営メディアは1日、ツイッターに、「合同委員会による協議が11月30日からティグライ州のシャイアで始まった」と投稿した。
双方の代表がエチオピア国内で協議するのは紛争開始以来初めて。先月の和平協定はいずれも第三国で行われた。
停戦協定は調印日(11月2日)から30日以内にTPLFに武装を解除するよう求め、ティグライ州のすべての公共施設、設備、空港や高速道路などの主要インフラは政府の管理下に置かれるとしている。
しかし、TPLFは隣国エリトリアの部隊やその他の敵対勢力がティグライ州から撤退しない限り、武装解除しないとしている。
TPLFの報道官は先月、「敵対勢力が市内にいる状態で武器を置くことはできない」と述べていた。
エチオピア政府はエリトリア軍と北部アムハラ州の武装勢力がティグライ州から撤退したかどうかは明らかにしていない。この両勢力は和平交渉に参加していない。
交渉を仲介したアフリカ連合(AU)の特使は先週、「外国軍」に撤退を要求した。
AP通信は治安筋の話を引用し、「エチオピア軍と同盟関係にある勢力が市内で略奪と残虐行為を行っている」と報じている。
人道機関の支援物資はティグライ州に届きつつあるようだが、この地域の住民推定600万人を保護するには不十分と伝えられている。
また同州の大部分のインフラは機能しておらず、電気やインターネット通信が復旧する見通しは立っていない。なお、海外のメディアは市内への立ち入りを禁じられている。