◎空爆の報告は地域で活動する人道支援団体を落胆させ、アビィ・アハメド首相が先日発表した和解のメッセージを台無しにした。
1月8日、エチオピア北部ティグライ地域で活動する人道支援団体などによると、避難民キャンプに対する空爆で少なくとも56人が死亡、数十人が負傷したという。
ソーシャルメディアには、ティグライ州のデデビットと呼ばれる町にある学校で治療を受ける負傷者の写真が複数共有された。
ティグライ州を統治するティグレ人民解放戦線(TPLF)の報道官、ゲタチュウ・レダ氏はツイッターに、「軍の無人ドローンは地域の紛争から逃れた市民を爆撃し、数十人を殺害した」と投稿した。
軍は空爆に関する質問を受け付けなかったと伝えられている。政府は以前の声明で民間人に対する攻撃を否定していた。
AP通信などによると、空爆されたと信じられている避難民キャンプ周辺のインターネット通信は遮断されており、軍のドローンが攻撃を行ったかどうかは分からず、立証することも困難だという。
ロイター通信は「デデビットの地方自治体は死傷者の数を確認した」と報じた。
国軍とTPLFの戦闘は2020年11月に本格化し、これまでに民間人数万人が死亡、数百万人が国内避難民になり、数万人が隣国スーダンに逃亡した。
国軍は2020年11月末にティグライ地域の大半をTPLFから奪取したが、TPLFは北部地域などで活動する反政府勢力と同盟を結んでティグライ国防軍(TDF)を結成し、6月の奇襲攻撃でティグライ地域の支配権を取り戻した。
政府は昨年末、TPLFの本拠地であるティグライ州には侵攻しないと発表したが、地元メディアなどによると、周辺地域では戦闘が続いているという。
空爆の報告は地域で活動する人道支援団体を落胆させ、アビィ・アハメド首相が先日発表した和解のメッセージを台無しにした。
国連の援助機関は先月末、「軍は12月19日~24日の間に民間人が身を寄せているキャンプや施設を複数回空爆し、数十人を殺害した」と報告した。報告書によると、空爆はティグライ州の南部に集中していたという。
国連難民局も6日の声明で、隣国エリトリアの難民3人が空爆で死亡し、そのうち2人は子供だったと報告した。
一方、政府は7日、TPLFの高官を含む著名な政治家の一部に恩赦を与えると発表した。法務省は声明で、「今回の恩赦は今後の国内対話を成功に導くだろう」と述べた。
連邦議会は先月末に内戦の終結を目的とする国内対話委員会の設置を賛成多数で承認した。