◎エチオピア最大の民族集団であるアムハラ族とオロモ族の一部は過去の紛争をめぐって対立状態にある。
エチオピア当局は26日、北部アムハラ州で民族間抗争とみられる戦闘が発生し、民兵と市民数十人が死亡したと明らかにした。
AP通信によると、戦闘が発生したのはアムハラ州南部の集落。主要民族であるアムハラ族とオロモ族が衝突したとみられる。
APの取材に応じた自治体職員は「オロモ解放軍(OLA)とみられる兵士たちがアムハラの民兵キャンプを襲撃し、20人以上を殺害した」と語った。
また職員は「民間人3人と遺体を埋葬した」と明らかにした。
別の目撃者は「他の集落でも戦闘が発生し、数十人が殺された」と主張している。
エチオピア政府は北部地域への海外メディアの立ち入りを禁じている。
OLAはかつての野党「オロモ解放戦線」の軍事部門であり、政府と対峙する武装勢力のひとつである。政府はOLAをテロ組織に指定している。
APの取材に応じた男性は、「OLAとアムハラ民兵の戦闘は数日前から始まり、市民数千人が避難を余儀なくされた」と語った。
現場で負傷者の治療に当たったという医師はフェイスブックに、「23日に数人の遺体を収容した」と投稿している。
アムハラ州政府は26日の声明で民族間抗争が発生したことを認め、連邦軍、警察、アムハラに配備されている部隊が事態の収拾に当たっていると述べた。
AP通信によると、首相府は取材に応じなかったという。
エチオピア最大の民族集団であるアムハラ族とオロモ族の一部は過去の紛争をめぐって対立状態にある。南部オロミア州に居住するアムハラ族の一般人が標的になることも珍しくない。
一方、オロモ族はアムハラ族が一方的に攻撃を仕掛けていると主張している。オロミア州の主要な人権団体は26日、「政府は国際法に基づき、国民を保護しなければならない」と声明を出した。