◎エチオピアの宗教団体は長い間平和的に共存してきたが、最近になって民族的、宗教的緊張が高まっている。
エチオピア政府は3日、ラマダン明けの祭り「イード・アル・フィトル」の最中に暴動を起こしたとして、76人を逮捕したと発表した。
今年のイード・アル・フィトルも盛況で、首都アディスアベバの競技場に入ることができなかった信者は近くの広場で祈りを捧げた。
暴動に関与した信者は4月末に北部アムハラ州ゴンダールで発生したとされるイスラム教徒襲撃事件に抗議し、警察に石を投げつけた。この事件では少なくとも21人が殺害され、150人以上が負傷したと伝えられている。
地域のイスラム教徒を代表する団体は、キリスト教の過激派グループが事件に関与したと告発している。容疑者が捕まったかどうかは不明。
事件後、ゴンダールを含む複数の地域のキリスト教会が襲撃を受け、焼かれた。
2日のイード・アル・フィトルに参加した信者の大半は平和的に祈りを捧げ帰路についたが、地元メディアによると、一部の若者グループが警察官の催涙ガス弾に投石で反撃したという。
警察は投石が始まると催涙ガス弾を乱射し、暴動に発展した。地元メディアによると、一部の店舗の窓ガラスが割れ、近くの博物館も攻撃を受けたという。
アディスアベバ警察の報道官は3日の会見で、「暴動に関与した76人を拘束した」と明らかにした。「数人が騒動を起こし、公共財産を破壊し、警察官を負傷させました...」
また報道官は、「衝突の原因を調査しており、判明次第、通知する」と述べた。
暴動を目撃した男性はAFP通信の取材に対し、「警察官のひとりが群衆に向かって催涙ガス弾を撃つまでは平和だった」と語った。
エチオピアはキリスト教徒の多い国で、人口の約30%がイスラム教徒とされる。
エチオピアの宗教団体は長い間平和的に共存してきたが、最近になって民族的、宗教的緊張が高まっている。
北部ティグライ州でくすぶり続ける内戦も民族間の緊張を高めている。
国軍とティグライ州を統治するティグレ人民解放戦線(TPLF)の戦闘は2020年11月に本格化し、民間人数万人が死亡、数百万人が国内避難民になり、数万人が隣国スーダンに逃亡した。
TPLFは3月末、政府が提案した「無期限の人道的停戦」に合意し、内戦はひとまず終結した。