◎エチオピア政府はテロリストである「ティグレ人民解放戦線(TPLF)」に加担した者、加担したと疑われる者を拘束していると明らかにした。
2021年11月7日/エチオピア、首都アディスアベバのメスケル広場で行われた軍のパレード(Getty Images/AFP通信)

11月9日、国連はエチオピアの現地職員少なくとも16人が政府に拘束されたことを明らかにし、進行中のティグライ紛争は悪化していると深刻な懸念を表明した。

国連の当局者によると、拘束されたのは全員ティグリニャ人だという。この部族は政府と激しく対立するティグレ人民解放戦線(TPLF)の支配地域で主に生活している。

国軍と北部ティグライ地域を支配するTPLFの戦闘は1年前に本格化し、これまでに民間人数千人が死亡、数百万人が国内避難民になり、数万人が隣国スーダンに逃亡した。

国軍は昨年11月末にティグライ地域の大半をTPLFから奪取したが、TPLFはオロモ解放戦線などの反政府勢力と同盟を結んでティグライ国防軍(TDF)を結成し、6月の奇襲攻撃で地域の支配権を取り戻した。

TDFはティグライ地域に隣接するアムハラ州とアファール州の大半を支配下に置き、さらに首都アディスアベバ近郊の都市を占領したと伝えられている。主要な野党グループと反政府勢力は11月5日に米ワシントンD.C.でアビィ・アハメド首相の追放を目指す統一戦線の結成に合意した。

国連のステファン・ドゥジャリック報道官は声明の中で、「拘束の理由は明らかにされていない」と述べた。AP通信によると、国家非常事態の宣言以来、首都アディスアベバで生活するすべてのティグリニャ人が取り調べの対象になっているという。

またドゥジャリック報道官は、「国連人道支援責任者もエチオピアを訪問した際、数日間拘束された」と述べ、一部の職員は解放されたが、職員の家族も複数拘束されていると明らかにした。国連はエチオピアの外務省に即時の釈放を求めている。

一方、エチオピア政府はAP通信に、「テロリストであるTPLFに加担した者、加担したと疑われる者を拘束している」と述べた。政府は今年初めにTPLFをテロ組織に指定した。

米国務省のネッド・プライス報道官は9日の記者会見で、「拘束の理由が民族に基づくものであれば、完全に容認できない」と述べた。

エチオピア人権委員会は先日、「新たな一斉逮捕は民族に基づいているように見える」と述べ、拘束された者の中に一般女性が含まれていることに懸念を表明した。

ティグライ地域の飢餓危機は過去10年で世界最悪と見なされており、国連は今年公表したレポートの中で40万人以上が年内に餓死する可能性があると警告した。アビィ首相はティグライにつながる道路の検問を強化しており、国連を含む人道組織の輸送トラックは目的地に到達できずにいる。

エチオピア政府は先月、7人の国連職員を国外に追放した。政府は7人が飢餓危機に関する誤った情報を発信したと述べ、非難した。

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