アムネスティ・インターナショナルによると、エチオピア北部ティグライの紛争で民間人数百人が虐殺されたという。
目撃者は9日に「ティグレ人民解放戦線(TPLF)」の戦闘員が民間人を虐殺した非難している。しかし、アムネスティによると、虐殺の事実はまだ確認できていないという。
エチオピア政府とTPLFの戦闘は先週から始まった。
政府とTPLFは声明を発表しておらず、現地の電話回線とインターネットも遮断されているため、情報の確認は困難な状況になっている。
アムネスティの情報が事実であれば、内戦危機における最初の大規模な虐殺行為になる。
アムネスティは声明の中で次のように述べた。
アムネスティ・インターナショナル:
「11月9日の夜、エチオピアのティグライ地域、南西エリアに位置するマイカドラの町で、数百人が刺されるなどして死亡したことが確認できた」
「遺体は町中に散らばっている。我々は担架で運び出されるおびただしい数の遺体を写真や映像で確認した」
情報によると、犠牲者は紛争に関与していない民間人に見えるという。
アムネスティの東アフリカおよび南部アフリカ担当ディレクター、デプロス・ムチェナ氏はこれを「恐ろしい悲劇」と呼び、「政府に通信の回復と現地へのアクセス許可を要請した」と述べた。
また、目撃者は犠牲者の傷について、「ナイフやマチェーテなどの鋭利な刃物によるもの」と説明したという。
政府とTPLF
11月4日、エチオピアのアビィ・アハメド首相は政府軍のキャンプが攻撃されたと発表、TPLFへの攻撃を命じた。
以来、衝突と空爆が続いている。
アハメド首相は12日の声明で、政府軍が大きな利益を上げたと述べた。
TPLFはエチオピアの与党連合を代表する強力な組織のひとつだった。しかし、アハメド首相は2018年の就任以来、その影響力を抑制し、TPLFは連合から脱退した。
アハメド首相は一部のTPLF指導者を「正義を捨てた逃亡者」と呼び、与党のエチオピア改革に反対したと非難している。
ティグライについて知っておくべきこと
・2020年11月、ティグライ地域、南西エリアに位置するマイカドラの町で、数百人が刺されるなどして死亡した。
・2020年11月4日、ティグレ人民解放戦線(TPLF)が政府軍の軍事キャンプを攻撃。TPLFは関与を否定している。
・国内最大の民族グループはオロモ民族。TPLFはこれに属する。
・オロモ民族グループとソマリア民族グループの衝突が長年続いてる。
・1970年代~1980年代、政府の崩壊、干ばつ、飢饉で100万人以上が死亡、約800万人が影響を受けたと伝えられている。指導者はマルクス主義の独裁者、メンギスツ・ハイレ・マリアム。
・1989年、TPLFは他の反政府組織と合併、エチオピア人民革命民主戦線(EPRDF)を結成。
・1991年、EPRDFの軍事攻勢により、メンギスツ・ハイレ・マリアム政権崩壊。
・1991年7月、EPRDF、オロモ解放戦線(OLF)などが87名の国民議会を形成。エチオピア暫定政府(TGE)を設立。
・2018年4月2日、アビィ・アハメドが首相に就任。
・2018年7月、エチオピアとエリトリア国の首脳が20年ぶりに会談、和平協定に署名。
・2018年10月25日、サーレ・ワーク・ゼウデが大統領に就任。エチオピア初の女性大統領。
・2018年の避難民数は推定140万人。
・2019年、アハメド首相がノーベル平和賞を受賞。
・政府とTPLFの緊張関係は年々悪化している。
・TPLFはエリトリア国との和平を認めていない。
・オロモ民族グループによる虐殺(数十人規模)が横行。オロモに属するアハメド首相はこれを非難している。