◎AFP通信によると、エチオピアの北部アムハラ州で激しい戦闘が発生したという。
2021年7月28日/エチオピア、北部ティグライ地域に隣接するアムハラ州の戦闘員(Getty Images/AFP通信)

AFP通信によると、エチオピアの北部アムハラ州で激しい戦闘が発生したという。これはアムハラ州と隣接するティグライ地域で昨年11月に勃発した紛争が拡大していることを示す兆候と考えられている。

ティグライ地域を支配していたティグレ人民解放戦線(TPLF)と国軍の戦闘による死者は数千人と伝えられており、200万人以上が国内避難民になり、数万人が隣国スーダンに逃亡した。紛争に関与した全ての当事者(政府、TPLF、エリトリア軍)は大量虐殺と人権侵害で非難されている。

TPLFは他の反政府勢力と連合を組んでティグライ国防軍(TDF)を結成し、6月にティグライ地域の大部分を奪還したと伝えられているが、戦闘地域への立ち入りは禁じられており、現地の状況はほとんど明らかにされていない。各国の主要メディアは、「紛争は激化している」と報じた。

国軍とアムハラ地域軍は英BBCニュースの取材に対し、「3つのエリアで反政府勢力と戦った」と述べた。

エチオピア政府は先月、一方的に停戦を宣言したが、TDFはこの宣言を却下したものと思われる。

エチオピア、北部アムハラ州

国連は7月2日の声明で、ティグライ地域の住民40万人以上が過去数十年で最悪の飢餓に直面し、少なくとも180万人が深刻な食糧危機に瀕していると警告した。また世界食糧計画(WFP)は28日、「ティグライへの食糧供給は7月29日に停止する」という厳しい見通しを発表した。

WFPを含む人道機関および団体はティグライへの援助を継続してきたが、戦闘の激化、取り締まりの強化、インフラの破壊などの影響で地域へのアクセスは困難な状況が続いていた。

WFPによると、紛争で荒廃したティグライとアムハラ州を結ぶ道路は全て閉鎖されているという。また、ティグライの東に位置するアファール州を通る唯一の援助ルートも反政府勢力の攻撃を受けて通行不能になった。

アファール州の放送局は、「国軍と地域軍は先週アファール州を攻撃した反政府勢力を全滅させた」と報じたが、AFP通信などによると、援助ルートが復旧する見通しは立っていないという。

ティグライの反政府勢力は、11月の紛争開始以来エチオピア軍を支援してきたエリトリア軍の完全撤退を含む条件を政府が認めれば停戦に応じると主張してきた。

TPLFとエリトリア政府は犬猿の仲であり、エチオピア・エリトリア国境紛争(1998~2000)で激しく衝突した。

TPLFはティグライ議会の与党だったが、現在はテロ組織に指定されており、行政に関与することができなくなった。しかし、TDFを含む反政府勢力は、TPLFはティグライの合法的な政府を主導していると主張した。

エチオピアのアビィ・アハメド首相の与党繁栄党は先月21日に行われた総選挙で圧勝したが、紛争の影響を受けた地域の投票は延期されている。これらの地域の投票日は9月6日に設定されているが、ティグライの実施日は明らかにされていない。

2021年7月2日/エチオピア、北部ティグライ地域の州都メケレ、ティグライ国防軍に降伏したエチオピア軍の兵士数百~数千人は刑務所に収監された(AP通信)
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