◎エチオピア政府とティグライ地域を支配していたティグレ人民解放戦線(TPLF)の戦闘は昨年11月に本格化し、推定200万人が国内避難民になり、数万人が隣国スーダンに逃亡し、数千人が死亡した。
7月1日、エチオピア北部ティグライ地域で人道支援活動を行っている国際救済委員会(IRC)は、地域につながる重要な橋が破壊されたと述べた。
IRCは声明の中で、「テケゼ川に架かる橋が何者かに破壊され、支援活動に深刻な影響が出ている」と報告した。ティグライ地域は過去10年間で最悪の飢餓に直面しており、国連は先日公表した報告書の中で支援を必要とする地域の住民は500万人に達し、35万人以上が餓死しかけていると述べた。
橋はティグライ西部と隣のアムハラ地域を結ぶ主要ルートのひとつと伝えられている。IRCは橋の状態をチェックしたが、渡れる状態ではなかったと述べた。
エチオピア政府とティグライ地域を支配していたティグレ人民解放戦線(TPLF)の戦闘は昨年11月に本格化し、推定200万人が国内避難民になり、数万人が隣国スーダンに逃亡し、数千人が死亡した。
エチオピア政府は先週、ティグライ紛争の停戦を一方的に宣言した。しかし、TPLFやその他の反政府勢力の戦闘員と思われる者たちは28日にティグライの州都メケレなどを奪還したと伝えられている。
TPLFと他の反政府勢力の連合軍、ティグライ国防軍(TDF)のスポークスマンはAP通信の取材に対し、「エチオピア軍、アムハラ地域のゲリラ軍、近隣のエリトリア軍を含む敵からこの地域を解放する」と語った。
TPLFとエリトリア政府は犬猿の仲であり、エチオピア・エリトリア国境紛争(1998~2000)で激しく衝突した。
専門家は、「エチオピア政府は先週行われた総選挙とティグライ地域での敗北を受け、停戦を宣言せざるを得なかった」と指摘した。AFP通信によると、ティグライの特定の地域を占領していたエリトリア軍は国境に向け後退したという。しかし、別の目撃者はエリトリア軍は地域内で活動していると主張した。
アムハラのゲリラ当局はAP通信の取材に対し、西部地域の奪還は不可能とTDFに圧力をかけたうえで、破壊された橋の調査を進めていると述べた。一方、エチオピア軍のゲティネット・アダン大佐は、橋の破壊工作の情報を持っていると述べたが、詳細は明らかにしなかった。
米国際開発庁(USAID)のサマンサ・パワー長官は橋の破壊を「悲惨」と表現した。同氏によると、ティグライ地域につながる主要な道路は4つしかなく、1つはアムハラのゲリラ軍、もう1つはゲリラ戦の影響で封鎖されているという。残り1つの状況は不明。
フランスの国連大使で国連安全保障理事会の議長を務めるニコラス・デ・リビエール氏は、ティグライ地域の進展に関する緊急会議を7月2日午後に開催する可能性が高いと述べた。
リビエール議長は1日の記者会見で、「安保理は人道支援への攻撃と人権侵害を阻止する決議を要求すべき」と述べた。
ティグライ地域の電気と通信は切断されたままであり、特に戦闘地域周辺の現状はほとんど明らかにされていない。アビィ・アハメド首相は停戦宣言の中で、和平交渉を開始する条件として、ティグライ地域への支援の再開を要求した。
国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、世界食糧計画(WFP)の支援物資を乗せた29台のトラックは先日、ティグライへの立ち入りを拒否され、アムハラ地域に戻らなければならなかったという。
WFPのピーター・スマードン報道官はAP通信の取材に対し、「橋の破壊が地域の支援活動に与える影響を評価しており、代替ルートを探している」と述べた。
エチオピア政府は停戦期間を農作物の植え付けや収穫などの繁忙期が終わる9月頃に設定している。