◎国連児童基金(ユニセフ)は30日、エチオピア北部ティグライ地域で10万人以上の子供たちが深刻な栄養失調に直面する可能性があると警告した。
国連児童基金(ユニセフ)は30日、エチオピア北部ティグライ地域で10万人以上の子供たちが深刻な栄養失調に直面する可能性があると警告した。
ユニセフ緊急対応チームのマリク・シーメルカード氏はAP通信の取材に対し、「今回示した推定値は以前の約10倍に相当する」と述べた。「紛争がエスカレートした影響で食糧へのアクセスはより困難になっています...」
アメリカの高官は過去数十年で最悪の飢餓に直面しているエチオピアをまもなく訪問する予定であり、食糧を積み込んだ国連のトラック約200台の運行再開に向けアビィ・アハメド政権に圧力をかけると期待されている。
アメリカの推定によると、現在、ティグライの住民最大90万人が致命的な飢餓に直面しているという。また食糧安全保障の専門家たちは、「政府はティグライ紛争が農作物の作付けに大きな影響を与えたことを見落としている」と指摘した。
ユニセフは紛争の影響で立ち入りを禁じられていたティグライの2つの地区で43万人以上の子供をチェックし、今回の結論に至った。
シーメルカード氏は、恐ろしい数の住民が深刻な栄養失調に直面し、食料、燃料、物資が圧倒的に不足していると不満を表明した。また、政府の停戦宣言以来、ティグライの治安はある程度改善されたが、地域へのアクセス手段は限られており、国連はまともに支援を提供できていないと述べた。「燃料はなく、道路も破壊されており、現地に食べ物や医療を届けることは極めて困難です。私たちは助けを求める親子の数を見て驚愕しました。赤ちゃんはお腹を空かせています」
また、2つの地区で調査を行った結果、妊娠中および授乳中の女性の約47%が急性栄養失調であることが分かったという。妊娠中の栄養失調は胎児に深刻な影響を与え、母乳の出が悪くなると赤ちゃんはより多くのリスクに直面する。
エチオピア政府は、ティグライの大部分を支配し、隣接するアムハラ州およびアファール州で影響力を拡大しているティグライ国防軍(TDF)が人道団体の支援を阻止していると非難したが、米国国際開発庁の高官は「地域に影響を与えている要素は反政府勢力だけではない」と指摘した。
米国国際開発庁のサマンサ・パワー長官は来週、エチオピアを訪問する予定である。
一方、ティグライを訪問中のマーティン・グリフィス国連特使はエチオピア政府とは会談したが、数十年にわたってティグライを支配してきたティグレ人民解放戦線(TPLF)と交渉を行える可能性はほとんどないと伝えられている。
TPLFは他の反政府勢力と連合を組んでTDFを結成し、6月にティグライの大部分を奪還した。
国連は30日に公開した報告書の中で、支援に対する嫌がらせや脅迫などを受けたと述べている。また報告によると、ティグライを支援するためには毎週トラック600台分の物資を運び込む必要があるが、7月12日以来、運び込みは停止しているという。
7月22日に国連の旅客機でエチオピア入りした支援スタッフは治安当局の厳しい審査に直面し、いくつかの必須医薬品の持ち込みを拒否された。それ以来、政府は旅客機により物資の輸送を拒否している。
大量虐殺の防止に関する国連の特別顧問であるアリス・ワイリム・ンデリトゥ氏は30日、ティグライ国防軍(TDF)を厳しく非難したアビィ・アハメド首相の言葉には問題があると懸念を表明した。
アハメド州相は今月初めの演説で、TDFを「雑草」「癌」と表現し、数千から数万人と伝えられているTDFの武装兵を煽った。
これに対しTDFのゲタチュー・レダ氏はロイター通信の取材に対し、「アビィ・アハメドはどんな犠牲を払ってでも除去しなければならない癌」と応戦した。