◎エリトリアは世界で最も閉鎖的な国のひとつである。
報道によると、エチオピア北部ティグライ州に侵攻していたエリトリア軍が撤退を開始したという。
エチオピア軍とティグライ州を実行支配するティグレ人民解放戦線(TPLF)の紛争は2020年11月に本格化し、民間人数万~最大60万人が死亡、数百万人が国内避難民となり、数万人が近隣諸国に逃亡したと推定されている。
政府とTPLFは昨年11月に和平協定を結んだものの、エチオピア軍と共にティグライ州に攻め込んだエリトリアは協定に参加しておらず、協定履行の大きな課題になっていた。
ティグライ州シャイアで人道支援活動に当たっている男性は20日、AP通信の取材に対し、「エリトリア軍がシャイアから撤退し始めた」と語った。
この男性によると、エリトリア軍の車両数十台が国境の町に向かったという。
男性はAPに、「自治体からエリトリア軍が撤退するので大通りに近づかないよう通達が来た」と説明した。
エチオピア政府とTPLFは今のところエリトリア軍撤退に関する声明を出していない。
エリトリア軍は紛争初期に参戦したと考えらえている。
アビー・アハメド(Abiy Ahmed)首相はエリトリア軍の関与を否定していたが、2021年3月に初めて関与を認めた、
米国、人権団体、TPLFなどはエリトリア軍が市民の虐殺やレイプに関与したと告発している。地元の人権活動家によると、エリトリア軍は和平協定が結ばれた後も犯罪行為を続けたという。
エリトリアは世界で最も閉鎖的な国のひとつであり、西側の告発を無視し続けている。
エリトリアの国営テレビは20日、在エチオピア・エリトリア大使館の声明を引用し、「エリトリア国民がエチオピアで奮闘したことは歴史に刻まれるであろう。国民は危険物を取り除いたのだ」と報じた。
同大使館は「我が軍はこの2年間、非常に規律正しく、戦闘能力も高く、他の追随を許さない圧倒的な働きを見せた。これにより、ティグライの裏切り者集団は敗北と屈辱を味わい、武装解除したのだ」と述べている。
エリトリアは2018年にアビー政権が発足するまで、30年近くに渡ってTPLFと対峙してきた。
エチオピアとエリトリアは1998年から2000年にかけて国境紛争を繰り広げたが、アビー氏の就任直後に和平協定を結んだ。