◎世界で最も閉鎖的な国のひとつであるエリトリアはエチオピア北部ティグライ州の市民を虐殺したと西側から告発されている。
人権活動家や国際機関によると、エリトリア政府は隣国エチオピアの北部地域に部隊を送り込んでいるという。
イギリスとカナダ政府はエリトリアへの不要不急の渡航を全て中止するよう勧告した。
世界で最も閉鎖的な国のひとつであるエリトリアはエチオピア北部ティグライ州の市民を虐殺したと西側から告発されているが、沈黙を続けている。
エリトリアで活動する権利活動家はAP通信の取材に対し、「いとこが徴兵され、エチオピアのどこかで戦っているが、生きているかどうか分からない」と語った。
AFP通信はエリトリアの情報筋の話を引用し、「学生や公務員を含む多くの市民が徴兵され、戦地に送り込まれている」と報じている。
エリトリア政府は18歳~40歳までの全国民に兵役を義務付けている。活動家によると、徴兵された市民はほとんど訓練を受けることなくエチオピアに送り込まれたと噂されている。
この規則に反対する多くの市民が国外に逃亡し、西欧への亡命を試みている。国際機関によると、アフリカ北部のリビアやチュニジアから地中海に乗り出す亡命希望者の多くがエリトリア人だという。
エリトリア政府は外国メディアの取材を禁じているため、国内の情勢を把握することは困難である。
エチオピア軍とティグライ州を実行支配するティグレ人民解放戦線(TPLF)の戦闘は2020年11月に本格化し、これまでに民間人数万人が死亡、数百万人が国内避難民となり、数万人が隣国スーダンなどに逃亡したとされる。
軍とTPLFの戦闘は先月末再開され、5カ月間維持された人道的停戦は破綻した。
TPLFは政府がエリトリア軍と協力して攻撃を仕掛けていると報告し、米国もこの報告を支持しているが、エチオピアのアハメド(Abiy Ahmed)首相は否定している。
TPLFは先月の戦闘再開後、エリトリア軍が再び攻め込んできたと報告している。
国連はティグライ州を含むエチオピアの北部地域で大飢饉が発生する可能性があると警告している。政府は同州を完全に封鎖し、部外者の立ち入りを禁じているため、市内の状況を確認することは困難である。