エリトリアがIGAD脱退、エチオピアとの緊張高まる中
IGADはエリトリアとエチオピアのほか、ジブチ、ケニア、ソマリア、南スーダン、スーダン、ウガンダの計8カ国で構成され、貿易、交通、通信、農業、自然資源、環境政策など多岐にわたる協力を目的としている地域機構である。
とエリトリアのアフウェルキ大統領(Khalil-Senosi/AP通信).jpg)
エリトリアが12日、東アフリカ地域の地域経済共同体「政府間開発機構(IGAD)」から脱退した。国連はエリトリアとエチオピアの関係が悪化していることに深刻な懸念を表明している。
エリトリア外務省はIGADが法的な権限と使命を失い、自国の利益に資する戦略的な利益を提供していないとして脱退を表明した。
エリトリアは2003年に同機構を一度脱退し、2023年に再加盟していたが、機構が地域の安定に寄与していないと判断したという。
IGADはエリトリアとエチオピアのほか、ジブチ、ケニア、ソマリア、南スーダン、スーダン、ウガンダの計8カ国で構成され、貿易、交通、通信、農業、自然資源、環境政策など多岐にわたる協力を目的としている地域機構である。
エリトリア外務省は声明で、IGADがその法的権限を失い、地域の安定に貢献していないと主張。IGAD側はエリトリアが再加盟後、会合や活動に実質的に参加していなかったと反論している。
エリトリアの脱退はエチオピアとの間で高まる外交的緊張と同時期に発生した。両国は25年前に国境紛争を終結させるアルジェ合意に署名しているが、近年互いに干渉を非難し合うなど関係が悪化している。
エチオピア側はかつてエリトリアからのアクセスに依存していた紅海への海路を平和的に確保したいとの意向を示しており、エチオピアのアビー(Abiy Ahmed)首相は今年9月、エリトリア独立によって海へのアクセスを失ったことを「誤り」と表現した。この発言はエリトリア側にとって挑発的だと受け止められている。
緊張の一因となっているのは、エリトリアとエチオピアがお互いを軍事的準備や反乱勢力支援で非難している点だ。エリトリアはエチオピアが紅海港を掌握しようとする意図を持つ「戦争計画」を抱いていると批判する一方、エチオピアはエリトリアが戦争の準備を進めていると主張し、国内の反政府勢力を支援していると非難している。こうした相互非難は地域の安全保障を一層不安定化させる恐れがある。
国連は両国に対し平和の原則と領土保全を尊重しアルジェ合意の精神に立ち返るよう強く求めている。国連事務総長の報道官は12日の声明で、紛争終結に向けた枠組みとしてアルジェ合意が重要であると強調し、対立の激化を避けるための外交努力が必要だと訴えた。
エリトリアのIGAD脱退は東アフリカ地域における統合協力の試みを揺るがす動きとなっており、周辺諸国および国際社会の間で地域の安定を維持するための新たな外交的取り組みを促す可能性がある。今後、各国の対応と調停努力が焦点になるとみられている。
