SHARE:

セネガル首相、ギニアビサウのクーデターを非難

軍指導部は週末に行われていた大統領選および議会選の結果発表を前にエンバロ政権を打倒。ホルタ・ウンタ・ナマン将軍が暫定大統領に就任し、任期を1年の移行期間と定めた。
2025年11月27日/ギニアビサウ、首都ビサウ、暫定大統領に就任したホルタ・ウンタ・ナマン将軍(AP通信)

アフリカ西部・セネガル政府は28日、隣国ギニアビサウで26日に発生したクーデターを受け、軍事政権を断じ、停止された選挙の手続きを直ちに再開するよう求めた。

軍指導部は週末に行われていた大統領選および議会選の結果発表を前にエンバロ政権を打倒。ホルタ・ウンタ・ナマン(Horta Inta-A Na Man)将軍が暫定大統領に就任し、任期を1年の移行期間と定めた。

軍は政権掌握の理由として、「麻薬組織による民主主義乗っ取りを阻止するため」と説明している。

これに対し、セネガルのソンコ(Ousmane Sonko)首相は28日の議会演説で、「ギニアビサウで起きたのはクーデターであり、選挙プロセスを阻害する正当な理由にはならない。選挙管理委員会が勝者を公式に認定する手続きを進めるべきだ」と語った。

このクーデターはギニアビサウで繰り返されてきた政治の不安定さ、特に軍の介入と選挙後混乱という「悪癖」を改めて浮き彫りにした。

クーデターに先立つ選挙では、現職のエンバロ(Umaro Sissoco Embalo)大統領と野党候補フェルナンド・ディアス(Fernando Dias)氏が勝利を主張していた。

クーデターを受け、エンバロ氏は国外へ逃れ、同日中にセネガルに到着した。

ECOWAS(西アフリカ諸国経済共同体)は今回のクーデターを強く非難し、ギニアビサウの加盟資格を停止。軍に対し、兵を兵舎に戻すよう求めるとともに、調停団を派遣する意向を示している。

また、アフリカ連合 (AU) や他の西アフリカ諸国も憲法秩序の復帰を呼びかけている。

一方、軍側は即座に政権を固めようとしており、暫定首相および財務相を任命するなど、体制整備を進めているとの報道もある。

セネガル政府や地域諸国の側からは、民主的選挙の尊重を訴える声が強まっており、ソンコ氏の「選挙プロセス再開要求」は、西アフリカ全体にとって象徴的なメッセージとなっている。

しかし、軍政側がどこまでこの要求に応じるかは不透明であり、今後の展開次第ではさらなる混乱や国際的孤立も懸念される。

今回のクーデターは麻薬密輸、汚職、不安定な政情など複合的な問題を抱えるギニアビサウの構造的な課題を再浮上させたことは間違いない。

西アフリカ地域の安定と民主主義の信頼維持のためにも、国際社会の監視と働きかけが当面の焦点となるだろう。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします