▽チセケディ政権はM23との対話を長い間拒否してきたが、一連の敗北を受け、再考せざるを得ない状況に追い込まれている。
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アフリカ中央部・コンゴ民主共和国のチセケディ(Félix Tshisekedi)大統領が同国最大の反政府勢力M23(3月23日運動)との対話を本気で検討している。
M23が主導する「コンゴ川同盟」は1月末に東部・北キブ州の最大都市ゴマを占領。その後、東部第2の都市である南キブ州ブカブに進軍、制圧した。
M23は2月初めに一方的に停戦を宣言したが、ゴマ郊外ではそれ以降も激しい戦闘が続いている。
コンゴのトゥルカ(Judith Suminwa Tuluka)首相は先月末、東部紛争における今年の死者数が7000人を超えたと明らかにした。
国連はM23がゴマを制圧して以来、3000人近くが死亡、約2900人が負傷したと報告している。
欧米諸国は隣国ルワンダによるM23への軍事支援を非難。一部の国は援助を停止した。
ルワンダ軍はM23を積極的に支援し、ゴマ市内で堂々と活動中。ゴマ郊外でコンゴ軍と交戦中という情報もある。
ルワンダ大統領府は1月末、「コンゴとの全面戦争に応じる用意がある」と表明した。
チセケディ政権はM23との対話を長い間拒否してきたが、一連の敗北を受け、再考せざるを得ない状況に追い込まれている。
隣国アンゴラは今週、コンゴ政府とM23が3月18日に首都ルアンダで直接協議すると発表。多くの人々を驚かせた。
チセケディ政権は今のところ、アンゴラの発表に関する公式声明を出していないが、複数のメディアが政府関係者の話しとして、「代表団の派遣を真剣に検討している」と報じた。
アナリストや外交官たちもコンゴ軍がM23に押されていることや、多くの市民がM23に同情していることに言及。「対話を避ければ、政府は窮地に追い込まれる可能性がある」と指摘している。
主要メディアによると、周辺国もコンゴ政府とM23の対話を歓迎しているという。
ロイター通信は15日、政府筋の話しとして、「政府の参加は確実だが、誰をアンゴラに派遣するかはまだ決まっていない」と報じた。
それによると、議論はまだ続いており、最終決定は来週になるとみられる。
M23は13日、アンゴラの提案を歓迎する一方、チセケディ政権に対し、直接交渉することを公に表明するよう求めた。
またM23はアンゴラに代表団を派遣し、「先月の東アフリカ共同体と南部アフリカ開発共同体による緊急首脳会合で採択された決議の実施方法を明確化するよう要求する」と強調した。
M23はルワンダとウガンダの支援を受けていたコンゴのツチ族武装集団の元戦闘員で構成され、2009年3月に締結された和平協定により、コンゴ軍に編入された。
しかし、M23の戦闘員はコンゴ軍に編入された後もルワンダ国境付近で活動を続け、13年の紛争に敗れるとルワンダやウガンダに逃亡。21年11月頃から活動を活発化させ、北キブ州の複数の集落を占領した。
コンゴ、米国、国連安保理はルワンダ政府がM23を支援していると指摘。ルワンダは長年、この主張を否定してきた。
1994年のルワンダ大虐殺に関与したとされるフツ族の住民数千人がコンゴ東部に逃げ込んで以来、両国の関係は緊張状態にある。
M23はコンゴに逃げ込んだフツ族の掃討を目指しているものとみられる。ルワンダはコンゴ政府が組織的に大虐殺の加害者であるフツ族を匿っていると主張している。
ルワンダ大虐殺の犠牲者は80万~100万人と推定されている。フツ族の過激派はツチ族だけでなく、フツ族の穏健派も殺害した。
国連はコンゴ国内で活動するルワンダ兵を最大4000人と推定している。
政府とM23による戦争は世界最大級の人道危機に発展。700万人以上が避難を余儀なくされている。
ゴマには国連コンゴ民主共和国安定化ミッション(MONUSCO)の本部と南部アフリカ地域圏の基地があり、郊外の避難民キャンプでは数百万人がテント生活を送っている。
M23はブカブから30キロほど離れた地点にある空港も占拠した。
国際社会はこの紛争が1990年代から2000年代の第2次コンゴ戦争のような規模に発展することを恐れている。この戦争では500万~600万人が死亡したと推定されている。