◎地中海と紅海を結ぶスエズ運河は、世界貿易の約10%に相当する貨物が行き来している。
2015年8月6日/エジプト、スエズ運河(Getty Images/AFP通信/PAメディア)

3月1日、エジプト政府は世界で最も重要な航路のひとつであるスエズ運河の船舶通行料を最大10%値上げしたと発表した。

スエズ運河庁は公式ウェブサイトの中で、「この値上げは世界貿易の著しい成長に沿ったものであり、運河の輸送サービスの発展と強化に欠かせない」と述べている。

声明によると、液化石油ガス(プロパンガス)、ケミカルタンカー、その他の液体バルクタンカーの通行料がそれぞれ10%上昇した。車両、天然ガス、一般貨物を運ぶ船舶、多目的船は7%の値上げ。石油、原油タンカー、ドライバルク船は5%の値上げ。

スエズ運河庁は、「値上げは世界の海運の変化に応じて修正されたり、中止されたりする可能性がある」と補足している。

同庁は昨年3月に発生したタンカー座礁事件を受け、スエズ運河南部の拡張工事を進めている。エバーギブン号は3月23日に運河のど真ん中で座礁し、世界の海運に甚大な影響を与えた。

エバーギブン号の座礁後、一部の船舶はアフリカ南端の喜望峰を回る長い代替ルートを取らざるを得なくなり、追加の燃料やその他の費用が必要となった。他の何百隻もの船舶は封鎖の解消をその場で待っていた。

地中海と紅海を結ぶスエズ運河は、世界の石油の7%を含む世界貿易の約10%に相当する貨物が行き来している。1869年に開通したこの運河は、エジプト政府の誇りと言っても過言ではない。

政府によると、昨年は20,649隻の船舶が運河を通過し、2020年の18,830隻と比較して約10%増加した。2021年の収益は63億ドル(約7,200億円)で、過去最高を更新したとのこと。

海運業界は依然としてコロナウイルスの圧力にさらされており、さらにロシア・ウクライナ戦争は世界経済の懸念に拍車をかけることになりそうだ。

2021年3月26日/エジプト、スエズ運河の衛星写真(©MaxarTechnologies/AP通信)

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