◎コロナウイルスの大流行やロシアのウクライナ侵攻、通貨の下落でエジプト経済は大きな打撃を受けている。
エジプト政府は10日、先月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比で21.9%上昇したと発表した。
統計機関が公表したデータによると、12月のCPIは前年同月から21.9%増となり、11月の19.2%を上回った。
食料品、医療サービス、住宅、家具など、多くの分野で物価が上昇した。食品価格は平均で4%上昇。果物は7.6%、乳製品は6.4%上昇している。
急速なインフレは人口の大多数を占める低中所得者層の生活を直撃した。統計によると、人口約1億400万人の30%近くが貧困状態にある。
コロナウイルスの大流行やロシアのウクライナ侵攻、通貨の下落でエジプト経済は大きな打撃を受けている。エジプトは世界最大の小麦輸入国であり、そのほとんどをロシアとウクライナから調達してきた。
シシ(Abdel Fattah el-Sissi)大統領は9日、インフレが加速していることを認めたうえで、国民に政権を信頼するよう促した。政府は支出を抑制し、外貨を確保するために公共事業を減らし、国家機関には予算を削減するよう命じている。
アナリストは中央銀行が主要政策金利の引き上げとエジプト・ポンドの切り下げを決定したことで経済ショックが起きたと指摘している。
国際通貨基金(IMF)は救済融資の条件として、外貨不足を解消し、インフレを抑えるよう政府に求めている。
中銀は先月、2024年の第4四半期までにCPIを7%程度にまで引き下げることを目指すと発表したが、実現するかどうかは不透明な情勢だ。
IMFは昨年、これらの改革を条件として、30億ドルの融資を承認した。