エジプト政府、一部公共事業の工期見直し、燃料危機受け
遅延の対象となるのはディーゼル燃料などを大量に使用するインフラ建設事業で、政府は当面これらの進行を抑制する。
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エジプト政府は28日、米イラン戦争の影響によるエネルギー危機に対応するため、燃料消費の大きい国家プロジェクトの一部を約2カ月間遅らせる方針を明らかにした。首相府の報道官が発表したもので、エネルギー供給の逼迫と価格高騰に対処する緊急措置である。
遅延の対象となるのはディーゼル燃料などを大量に使用するインフラ建設事業で、政府は当面これらの進行を抑制する。あわせて、公用車への燃料配給を30%削減する方針も示された。さらに、4月中は日曜日に在宅勤務を導入し、公共部門だけでなく民間部門にも適用する。医療や製造業などの重要分野は対象外だが、戦況次第では措置の延長も検討されるとしている。
こうした対応の背景には2月末に始まった米イスラエル・イランの軍事衝突がある。この戦争は中東のエネルギー供給網に大きな混乱をもたらし、原油や天然ガスの価格を押し上げている。エネルギー輸入への依存度が高いエジプトは特に影響を受けやすく、国内ではすでに燃料価格や公共交通料金の引き上げが実施されている。
エジプト経済はもともと対外債務の増大やインフレ圧力といった課題を抱えており、今回の戦争はその脆弱性を一層浮き彫りにしている。輸入コストの増加や資本流出の懸念が高まり、財政への負担が拡大している。政府によると、2026年度における債務返済費は約5%増加する見通しである。
一方で政府は、国民生活への影響を緩和するための社会保護策も検討している。最低賃金の引き上げや、医療・教育分野への支出拡大が検討され、物価上昇による生活負担の軽減を図る狙いがある。エネルギー価格の高騰が長期化すれば、さらなる追加対策が必要となる可能性もある。
イランを巡る戦争は世界的なエネルギー市場にも波及し、各国経済に影響を及ぼしている。エジプトの今回の措置は、外部ショックに対する新興国経済の脆弱性とエネルギー依存構造の課題を示す事例といえる。今後、戦況の長期化や供給不安の拡大によっては、さらなる緊縮策や経済運営の見直しが迫られる可能性がある。
