エジプト2025/26会計年度第1四半期GDP+5.3%、経済改革が成長を後押し
同国のGDP成長率が5%台となったのは3年ぶり。直近の四半期は3.5%であった。
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エジプトの2025/26会計年度第1四半期(2025年7~9月)において、GDPが前年同期比で5.3%拡大した。統計局が27日、明らかにした。
同国のGDP成長率が5%台となったのは3年ぶり。直近の四半期は3.5%であった。
この成長加速は、政府による経済および構造改革が一定の成果をあげつつあることの表れとだ。
特に、工業(非石油製造業)、観光、通信・情報技術(ICT)など「実体経済(リアルエコノミー)」を支える生産性の高いセクターが躍進した。
たとえば、非石油製造業は14.5%の成長、通信・ICTも同じく14.5%伸びており、観光も13.8%の拡大を記録。これに加えて、金融仲介、電力、卸売・小売、建設といった分野も堅調な伸びを示した。
投資環境の改善も顕著だ。第1四半期の民間投資は前年同期比で25.9%の大幅増となり、実行された全投資に占める割合は66%に達した。
逆に公共投資の割合は縮小し、34%にとどまった。これは、公共支出の抑制と、民間主導による資本形成の拡大という国の戦略を反映するものだ。
また、国際的な支援も成長回復の原動力となっている。エジプト政府は、 国際通貨基金(IMF)との80億ドル規模の改革プログラムを進めており、加えて、アラブ首長国(UAE)政府系投資機構からの240億ドル規模の投資も確保されている。
このうち、地中海沿岸の大型土地取引を含む投資が、インフラや産業基盤の強化につながっている。
これらを背景に、2025/26会計年度通年のGDP成長率見通しはこれまでの「4.5%」から引き上げられ、「5%程度」が政府の新たな目標となった。
政府は、構造改革と民間投資の拡大、そして産業の高度化・多角化を通じて、経済の安定的な成長と回復を目指している。
ただし、改善の背景には過去の通貨切り下げによる財政的混乱や、物価高騰、地域情勢の不安定化(特に紅海・地中海周辺の海上安全保障といった外部要因)など、さまざまな構造リスクもあった。これらを乗り越えての今回の成長は、改革の方向性と国際支援の適切な組み合わせが奏功した結果といえる。
政府は今後、製造業や通信・ICT、観光などの産業分野への民間参入をさらに促進し、「輸出可能で生産性の高い産業」を育成することを通じ、持続可能な成長モデルの定着を図る方針だ。この取り組みがどこまで実を結ぶか、今後のデータに注目が集まる。
