コンゴ、エボラ出血熱の流行終息を宣言、ワクチン接種が寄与
この流行は2025年9月4日、同国南部の中央カサイ州で始まった。

コンゴ民主共和国政府は1日、16回目とエボラ出血熱の流行が終息したと宣言した。
この流行は2025年9月4日、同国南部の中央カサイ州で始まった。最初の感染者は妊娠中の女性で、高熱や出血性下痢などを訴え、数日後に死亡。検査の結果、病原体はエボラウイルスと確認された。以後、同州の他地域を含めて症例の報告が相次ぎ、流行が宣言されていた。
流行の最終的な規模として、公式には53件の確定例と11件の疑い例、あわせて64件の感染が報告された。死亡者数は43〜45人との報告がある。
保健省は声明で、「最後の感染者が退院してから42日間、新たな確認例は出ておらず、ウイルスの感染連鎖は断たれた」と述べ、流行の終息を宣言した。
エボラ出血熱はエボラウイルスによって引き起こされる重篤なウイルス性疾患である。主に西アフリカや中部アフリカで発生が報告されており、ヒトからヒトへの感染は、感染者の血液や体液、分泌物との直接接触によって生じる。潜伏期間は2日から21日程度で、発症初期には高熱、頭痛、筋肉痛、倦怠感などの全身症状が現れる。
今回の流行終息にはワクチン接種が重要な役割を果たした。報道によると、総計で約2万7000人(医療従事者含む)がワクチン接種を受けた。これが感染拡大の抑制に大きく寄与したとのことだ。
また、世界保健機関(WHO)や国際支援団体を含む多国間の支援体制と、感染症監視・迅速対応チームによる協力も奏功した。特に、道路網や通信網が未整備でアクセスが困難な田舎地域において保健体制を強化し、隔離・治療・接触者追跡・衛生対策などを徹底した。
ただし、同国ではエボラだけでなく、コレラやM痘(エムポックス)など他の複数の感染症も同時に流行しており、保健省は「公衆衛生上のリスクは依然として高い」と警戒を呼びかけている。
今回の流行は1976年にエボラが初めて同国で確認されて以降、数えて16回目にあたる。今回の迅速かつ組織だった対応とワクチン普及、そして国際的支援によって、比較的短期間で封じ込めに成功したことは、国の保健体制の改善、そして国際的な協力の効果を示すものといえる。
今後は90日間の監視期間に移り、再発防止に努めると政府は表明している。
