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ケニア全土で「干ばつ」深刻化、牧畜民の生活基盤に打撃

国内では従来、干ばつは主に北東部や北部の乾燥地域で発生してきたが、今回は首都ナイロビに近い地域など、これまで大きな被害がなかった地域にも広がっている。
アフリカ東部・ケニア、首都ナイロビ郊外(ロイター通信)

ケニアで深刻な干ばつが北部の乾燥地帯を越えて拡大し、牧畜民の生活基盤を直撃している。国内では従来、干ばつは主に北東部や北部の乾燥地域で発生してきたが、今回は首都ナイロビに近い地域など、これまで大きな被害がなかった地域にも広がっている。この干ばつは長引く雨不足と高温により悪化しており、牧畜民の暮らしや経済に深刻な影響を及ぼしている。

ナイロビ郊外で暮らす24歳の牧畜民は昨年8月以降、100頭以上の牛と300頭のヤギを失った。現在手元に残っている家畜も極度の痩せで乳を出すことができず、家庭や市場での収入源を断たれている。これらの家畜は本来、牛一頭当たり6万〜7万ケニアシリング(7.2万~8.5万円)で取引されていたが、現在は状態の良い牛でも5000シリング程度まで価格が暴落し、家族は飼料の購入資金を得るために安価で家畜を売却せざるを得ない状況だ。

遊牧民たちは記録的な干ばつに見舞われた2022年にも同様の経験したが、今回はその範囲と深刻さが異なる。気象台は近年の気候変動による極端な気象の頻度が増していることを指摘し、それが干ばつを従来の乾燥地以外の地域にも拡大させていると分析している。

地元の専門家は「これまでにも干ばつはあったが、今回はこれまでで最悪だ」と語る。多くの牧畜民は餌や水を求めて国境を越え隣国タンザニアまで移動を余儀なくされている。

干ばつはケニア国内だけの問題ではなく、アフリカ東部全域に影響を及ぼしている。特にソマリアでは2025年11月に干ばつ非常事態が宣言され、国連世界食糧計画(WFP)は支援不足の中で深刻な飢餓と栄養不良が拡大していると警告している。同機関によると、ソマリアでは子どもの約半数が栄養失調状態にあるという。

ケニア気象局が発表した3~5月のモンスーン期の降雨予測では、ナイロビと近郊の雨量は平年並みか平年を下回る見込みで、干ばつの改善は期待できない状況だ。政府は干ばつの影響を受けてきた北部地域で13万人以上の世帯に現金支援を行っているが、今回新たに被害を受ける地域への支援は十分に届いていない。地元自治体は「今のところ死者は報告されていないが、家畜は消え、日増しに日差しが強くなっている」と述べ、地域住民の生活基盤が弱体化していると示唆している。

政府や国際支援団体は食料と水の供給、現金支援や飼料配布などの緊急対策を求められているが、継続的な支援と干ばつ対策の強化が不可欠だと指摘されている。

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