▽M23が主導する「コンゴ川同盟」は先月末に東部・北キブ州の最大都市ゴマを占領。東部第2の都市である南キブ州ブカブに進軍し、16日に制圧した。
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アフリカ中央部・コンゴ民主共和国の反政府勢力M23(3月23日運動)は17日、支配下に置いた東部・南キブ州ブカブの住民に対し、治安を回復し、身の安全を保証すると約束した。
M23が主導する「コンゴ川同盟」は先月末に東部・北キブ州の最大都市ゴマを占領。東部第2の都市である南キブ州ブカブに進軍し、16日に制圧した。
M23は今月初めに一方的に停戦を宣言したが、ゴマ郊外ではそれ以降も激しい戦闘が続いているとみられる。
国連はM23がゴマを制圧して以来、3000人近くが死亡、約2900人が負傷したと報告している。実際の死傷者数はもっと多いという情報もある。
欧米諸国は隣国ルワンダによるM23への軍事支援を非難。一部の国は援助停止を決めている。
ルワンダ軍はM23を積極的に支援し、ゴマ市内で堂々と活動中。ゴマ郊外でコンゴ軍と交戦中という情報もある。
ルワンダ大統領府は先月末、「コンゴとの全面戦争に応じる用意がある」と表明した。
現地メディアによると、M23の戦闘員はブカブ市内を自由に動き回り、国軍兵士の姿は見当たらないという。
何千人もの市民が隣国ブルンジに逃亡した一方で、現地にとどまった住民の中にはM23を歓迎する者もいた。ブカブの人口は約130万人と推定されている。
地元ラジオ局は17日、M23の声明を引用し、「国軍とその同盟組織に見捨てられたブカブ市民を支援し、身の安全を保証する」と報じた。
またM23は「住民とその財産を保護すると約束し、治安と安全を回復させ、公共サービス再開に向けた取り組みを進めている」とした。
M23はルワンダとウガンダの支援を受けていたコンゴのツチ族武装集団の元戦闘員で構成され、2009年3月に締結された和平協定により、コンゴ軍に編入された。
しかし、M23の戦闘員はコンゴ軍に編入された後もルワンダ国境付近で活動を続け、13年の紛争に敗れるとルワンダやウガンダに逃亡。21年11月頃から活動を活発化させ、北キブ州の複数の集落を占領した。
コンゴ、米国、国連安保理はルワンダ政府がM23を支援していると指摘。ルワンダはこの主張を否定している。
1994年のルワンダ大虐殺に関与したとされるフツ族の住民数千人がコンゴ東部に逃げ込んで以来、両国の関係は緊張状態にある。
M23はコンゴに逃げ込んだフツ族の掃討を目指しているものとみられる。ルワンダはコンゴ政府が組織的に大虐殺の加害者であるフツ族を匿っていると主張している。
ルワンダ大虐殺の犠牲者は80万~100万人と推定されている。フツ族の過激派はツチ族だけでなく、フツ族の穏健派も殺害した。
国連はコンゴ国内で活動するルワンダ兵を最大4000人と推定している。
政府とM23による戦争は世界最大級の人道危機に発展。700万人以上が避難を余儀なくされている。
ゴマには国連コンゴ民主共和国安定化ミッション(MONUSCO)の本部と南部アフリカ地域圏の基地があり、郊外の避難民キャンプでは少なくとも200万人がテント生活を送っている。
M23はブカブから30キロほど離れた地点にある空港も占拠したとみられる。
政府は16日、ブカブが陥落したことを認め、、「秩序と領土の完全性を回復するために全力を尽くしている」と声明を出した。
一方、国連世界食糧計画(WFP)は17日、略奪者が週末にブカブの倉庫に保管していた7000トンの人道物資を持ち去ったと明らかにした。
それによると、ブカブ市内の複数の倉庫が襲われ、食料や飲料水などの物資を根こそぎ奪われたという。
WFPはX(旧ツイッター)への投稿で略奪を非難。「倉庫の食料は深刻化する人道的危機に直面している最も弱い立場にある家族に提供するものだった」と述べた。
またWFPは紛争当事者に対し、国際人道法を順守するよう求めた。
国連はこの紛争が1990年代から2000年代の第2次コンゴ戦争のような規模に発展することを恐れている。この戦争では500万~600万人が死亡したと推定されている。