◎コンゴ東部では国際テロ組織アルカイダやISISとつながりのある過激派など、120以上の武装勢力が活動している。
アフリカ中央部・コンゴ民主共和国が紛争とM痘(エムポックス)の嵐に見舞われ、かつてない混乱に直面している。
アフリカ疾病予防管理センター(CDC)によると、アフリカ54カ国のうちコンゴを含む12カ国で今年M痘感染者が確認され、全感染者と死者の大半がコンゴで報告されている。
全体の感染者は今週初めの時点で約1万9000人、死者は541人。コンゴの感染者は全体の94%にあたる1万7794人、死者は535人となっている。
一方、コンゴ東部では国際テロ組織アルカイダやISISとつながりのある過激派など、120以上の武装勢力が活動している。
同国最大の反政府勢力「3月23日運動(M23)」と政府は戦争状態にあり、この紛争は世界最大級の人道危機に発展。700万人以上が避難生活を余儀なくされ、避難所ではM痘だけでなく、コレラ、マラリア、コロナウイルスなどの感染症も流行している。
ウガンダで発足したイスラム国(ISIS)系組織「民主同盟軍(ADF)」と政府も戦争状態にあり、この数年で数千人が殺害され、数万人がウガンダに逃れた。
専門家によると、東部地域における過去30年間の紛争で死亡した人は500万~600万人と推定されている。被害の全容は明らかになっておらず、M23が支配する北キブ州の一部地域では餓死者も報告されている。
紛争の影響は五大湖地域全体に及んでおり、貿易を妨げ、住民を避難させ、進歩を遅らせている。
ルワンダ政府がM23を支援していることも、和平努力を複雑にしている。
M23はルワンダとウガンダの支援を受けていたコンゴのツチ族武装集団の元戦闘員で構成され、2009年3月に締結された和平協定により、コンゴ軍に編入された。
しかし、M23の戦闘員はコンゴ軍に編入された後もルワンダ国境付近で活動を続け、13年の紛争に敗れるとルワンダやウガンダに逃亡。21年11月頃から活動を活発化させ、北キブ州の複数の集落を占領した。
コンゴ、米国、国連安保理はルワンダ政府がM23を支援していると指摘。ルワンダはこの主張を否定している。
1994年のルワンダ大虐殺に関与したとされるフツ族の住民数千人がコンゴ東部に逃げ込んで以来、両国の関係は緊張状態にある。
M23はコンゴに逃げ込んだフツ族の掃討を目指しているものとみられる。