◎同国東部では国際テロ組織アルカイダやイスラム国(ISIS)とつながりのある過激派など、120以上の武装勢力が活動している。
2023年4月2日/コンゴ民主共和国、東部・北キブ州の空港、南スーダンの兵士(ロイター通信)

コンゴ民主共和国のチセケディ(Felix Tshisekedi)大統領は12日、同国の東部地域に課しているいくつかの制限を解除すると発表した。

チセケディ氏はテレビ演説の中で、「陸軍による北キブ州とイトゥリ州の包囲状態を徐々に緩和し、夜間外出禁止令やデモ禁止令を解除する」と述べた。

同国では12月20日に大統領選が行われる予定。チセケディ氏は2期目を目指している。

同国東部では国際テロ組織アルカイダやイスラム国(ISIS)とつながりのある過激派など、120以上の武装勢力が活動している。

チセケディ氏は2021年に東部地域を事実上封鎖。対テロ戦争を開始した。

政府と北キブ州に拠点を置く同国最大の反政府勢力「3月23日運動(M23)」は戦争状態にある。

M23はルワンダとウガンダの支援を受けていたコンゴのツチ族武装集団の元戦闘員で構成され、2009年3月に締結された和平協定により、コンゴ軍に編入された。

しかし、M23の戦闘員はコンゴ軍に編入された後もルワンダ国境付近で活動を続け、2013年の紛争に敗れるとルワンダやウガンダに逃亡。2021年11月頃から活動を活発化させ、北キブ州の複数の集落を占領した。

コンゴ政府、米国、国連の専門家はルワンダ政府がM23を支援していると指摘。ルワンダはこの主張を否定している。

1994年のルワンダ大虐殺に関与したとされるフツ族の住民数千人がコンゴ東部に逃げ込んで以来、両国の関係は緊張状態にある。

M23はコンゴに逃げ込んだフツ族の掃討を目指しているとみられ、北キブ州の州都ゴマ近郊まで支配地域を拡大したとされる。

チセケディ氏は演説の中で、「私は北キブ州とイトゥリ州に対する制限を一部緩和したうえで、この地域の安全と平和を確立すると改めて固く決心した」と表明した。

東部地域で活動する人権団体や活動家は包囲状態を批判していた。

国際人権団体アムネスティ・インターナショナルはこの包囲について、「治安情勢を改善するという本来の目的を果たしておらず、その代わりに表現と集会の自由、裁判を受ける権利など、基本的人権をひどく損なっている」と指摘している。

東部地域では暴力が激化しており、数百万人が避難を余儀なくされている。

在コンゴ・米国大使館は12日、M23が活動する北キブ州で暴力が拡大し、それに伴う人命のさらなる損失と避難民の大量発生を大いに懸念していると表明した。

同大使館はチセケディ政権に対し、民間人を保護するための努力を倍加するよう要請した。

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