◎コンゴ軍と反政府勢力「3月23日運動(M23)」は北キブ州郊外で激戦を繰り広げている。
コンゴ民主共和国政府は5日、反政府勢力「3月23日運動(M23)」が先週だけで民間人272人を虐殺したと発表した。
M23は先週、東部の北キブ州郊外にあるキシシェ村を襲撃したと報告されている。政府はこの襲撃の死者数を50人程度と報告していた。
パルク(Julien Paluku)産業相は記者会見で、「詳細は明らかにできないが、司法当局が事件を調査し、我々はその結果を待っている」と述べた。
またパルク氏はセブンスデー・アドベンチスト教会の子供と病院関係者が殺害されたと明らかにした。
政府はこの虐殺をM23の犯行と説明したが、M23の報道官はSNSに投稿した声明で関与を否定し、「民間人は国軍の砲撃で死亡した」と主張している。
国連は先週、「キシシェ村で地元民兵とM23が衝突し、多くの民間人が犠牲になったと報告を受けた」と発表したが、死者数には言及していなかった。
国連コンゴ民主共和国安定化ミッション(MONUSCO)も先週、M23の攻撃を非難し、虐殺が事実であれば国際人道法に基づく犯罪捜査の対象となり、関与した者は法廷で裁きを受けると断じた。
MONUSCOはツイッターに投稿した声明の中で、「すべての関係当局に対し、遅滞なく調査を行い、加害者を特定するよう求める」と述べている。
M23はルワンダとウガンダの支援を受けていたコンゴのツチ族武装集団の元戦闘員で構成される武装勢力で、2009年3月に締結された和平協定により、コンゴ軍に編入された。
しかし、M23の戦闘員はコンゴ軍に編入された後もルワンダ国境付近で活動を続け、2013年の紛争に敗れるとルワンダやウガンダに逃亡。昨年11月頃から活動を活発化させた。
コンゴ政府、米国、国連の専門家はルワンダ政府がM23を支援していると指摘しているが、ルワンダはこの主張を否定している。
1994年のルワンダ大虐殺で告発されているフツ族の住民数千人がコンゴ東部に逃げ込んで以来、両国の関係は緊張状態にある。
M23はコンゴに逃げ込んだフツ族の掃討を目指しているとみられる。
M23は今年6月、ウガンダ国境に近い戦略的に重要な町を占領した。コンゴ軍は占領地の奪還を目指しているとみられる。
コンゴとルワンダの両首脳は先月、アフリカ連合(AU)仲介の協議で即時停戦を目指すことに合意したが、M23は攻撃を続けている。M23はこの協議に参加していないものの、停戦を受け入れると表明していた。
国連によると、北キブ州の市民数十万人がこの紛争で故郷を追われ、州都ゴマの避難所などに避難したという。その多くが屋外に設置された小さなテントで生活している。
国連は先月の声明で、「今年3月以降の暴力で故郷を追われた市民は20万人に達した」と報告していた。
地元メディアによると、M23の支配地域は徐々に拡大しつつあり、一部地域への支援物資輸送が困難になっているという。M23は少なくとも3つ町を占領したと伝えられているが、詳細は不明である。