ケニア暴動、死者31人に、500人逮捕、放火や略奪相次ぐ

同国では7日、全国各地で国家警察と政府与党に抗議するデモが行われ、一部の暴徒と警察が衝突した。

2025年7月7日/ケニア、首都ナイロビ郊外、警察と政府与党に抗議するデモ隊(AP通信)

ケニアの反政府デモによる死者数が31人に急増し、1日当たりの死者数としては過去数年で最も多くなった。独立警察監視機関(IPOA)が8日、明らかにした。

同国では7日、全国各地で国家警察と政府与党に抗議するデモが行われ、一部の暴徒と警察が衝突した。

IPOAによると、首都ナイロビなどの都市部で被害が拡大し、多くの建物や車両が破壊され、31人が死亡、107人が負傷し、500人以上が逮捕されたという。

逮捕者数は警察が発表した数値とほぼ一致した。31人がどのような状況で死亡したかは明らかになっていない。

ナイロビでは1カ月ほど前から男性ブロガーの死に抗議するデモが続いている。

オンラインメディアなどに記事を投稿していたアルバート・オワンガ(Albert Ojwang、31歳)さんはナイロビ中央警察署に連行された後、死亡した。

警察は当初、オワンガさんが留置場内で自殺したと主張していたが、その後謝罪し、捜査を開始したと明らかにした。

オワンガさんは先月初め、西部のビクトリア湖近くの町で逮捕され、ナイロビに連行された。

警察は逮捕の理由について、「オワンガさんがソーシャルメディアで警察幹部に関する虚偽の情報を拡散した」と説明していた。

この事件を調査するIPOAは1週間後、解剖の結果、オワンガさんが暴行を受けた可能性が高いと指摘。同署の幹部らを逮捕したと明らかにした。

ルト(William Ruto)大統領は7日のデモと取り締まりについてコメントしていない。

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)のターク(Volker Turk)高等弁務官の報道官は8日、抗議デモの原因となった不満を解決するよう促した。

また報道官は冷静さと自制を呼びかけ、表現の自由、結社の自由、平和的な集会の自由を再確認するよう求めた。

ロイター通信によると、ナイロビの複数の地区で放火や略奪が確認され、警察は催涙ガスと放水砲で対処。ナイロビ郊外では警察がデモ隊に実弾を撃ち込んだ。

ソーシャルメディアで拡散した動画には警察官に撃たれたとみられる男性の遺体が映っていた。

ナイロビでは先月にも警察に抗議するデモが暴動に発展し、略奪が横行。国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは少なくとも16人が死亡、400人以上が負傷し、死者の大半が警察官に射殺されたと報告している。

活動家たちは毎年、1990年に当時のダニエル・アラップ・モイ(Daniel Arap Moi)大統領の反対派が抗議デモを開始した日を記念して、7月7日に集会を開いている。

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