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南アフリカ・ヨハネスブルク銃撃事件、死者10人に、捜査続く

事件は12月21日午前1時前ごろ、ヨハネスブルク西部ベッカースダルにあるパブ「KwaNoxolo」で発生。複数の武装した男たちが押し入り、利用者に向けて無差別に発砲したとされる。
2025年12月21日/南アフリカ、ヨハネスブルク、銃撃事件が発生した現場(Shiraaz Mohamed/AP通信)

南アフリカ・ヨハネスブルク西部で12月21日に発生した銃乱射事件について、当局は23日、入院していた1人が亡くなり、死者が10人に達したと明らかにした。

それによると、市内の病院で治療を受けていた1人が亡くなったという。少なくとも9人が入院している。

事件は12月21日午前1時前ごろ、ヨハネスブルク西部ベッカースダルにあるパブ「KwaNoxolo」で発生。複数の武装した男たちが押し入り、利用者に向けて無差別に発砲したとされる。

襲撃犯は白いミニバンとシルバーの車の2台で現場に到着し、店内外の客を次々に銃撃したとみられる。現場から逃走する際にも通行人を狙って発砲したとされ、タクシー配車サービスのドライバーが外で待機中に撃たれて死亡したとの報道もある。

この銃撃事件について、西ケープ州では当局が12人前後の実行犯グループとみられる集団による犯行と見て捜査を進めている。州警察は目撃者の情報に基づき、2人の容疑者を特定したと明らかにした。

このパブは営業許可を得ていたとされるが、地元メディアによると、警察は店の経営者を詐欺と無許可酒類販売の疑いで告発する準備を進めており、店内の酒類を押収したとしている。これについて警察の報道官はパブの営業実態について詳細な調査を行っていると説明した。

この事件は南アで相次ぐバーやパブに対する銃撃の一つに数えられる。今月初めにもプレトリア近郊のバーで発生した銃撃事件により少なくとも12人が死亡しており、当局はこの事件に関連して32歳の容疑者を逮捕した。

南アは世界でも殺人発生率が特に高い国の一つであり、2024年の殺人件数は2万6000件を超え、1日平均で70件以上の殺人が報告されている。銃規制は厳格であるものの、多くの暴力事件に銃が使われている。今回の事件についても違法銃器の使用が強く疑われており、警察はこれらの流通ルートの封鎖と地域住民の安全確保に向けて取り組みを強化するとしている。

地元住民や活動家の間では、貧困や失業、犯罪組織の勢力拡大が暴力事件の背景にあるとの指摘が強まっており、単発的な捜査だけでは根本的な解決にならないとの声も出ている。治安の改善と銃器規制の強化が急務となっている中、今回の事件は南ア社会が抱える深刻な問題を浮き彫りにしている。

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