マダガスカル、陸軍大佐が大統領に就任、クーデター主導
ラジョエリナ前大統領は国外に逃亡したとみられる。
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アフリカ南東部沖の島国マダガスカルの軍事クーデターを主導した陸軍特殊部隊の司令官ランドリアニリナ(Michael Randrianirina)大佐が17日、大統領に就任した。
ランドリアニリナ氏は高等憲法裁判所の式典で宣誓し、新大統領に就任した。
ラジョエリナ(Andry Rajoelina)前大統領は国外に逃亡したとみられる。
首都アンタナナリボで11日と12日に行われた抗議デモには陸軍の特殊部隊を含む多くの軍兵士が参加。ラジョエリナ氏に辞任を求めた。
慢性的な停電・断水に抗議する若者主導のデモは9月25日に始まり、政府はアンタナナリボなど主要都市に夜間外出禁止令を発令していた。
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は一連の暴動と治安部隊による取り締まりで少なくとも22人が死亡したと報告しているが、政府はこの数字を否定している。
デモ隊は警察の取り締まりが強まるにつれ、政治家の汚職や縁故主義に抗議するようになった。
ラジョエリナ氏は先月末に全閣僚を解任し、デモ隊に対話を呼びかけたが、若者たちの怒りは収まらず、ラジョエリナ氏にも辞任を求めていた。
ラジョエリナ氏は12日の声明で、軍部隊によるクーデターが発生していると報告していた。
ランドリアニリナ氏は就任演説で、「本日は我が国にとって転換点となる。マダガスカル国民自身が、国家統治の在り方に抜本的な変革を切望しているからだ」と語った。
またランドリアニリナ氏は平和と団結を呼びかけ、「過去の有害な慣行から脱却する」と約束した。
議会下院(定数151)は14日、ラジョエリナ(Andry Rajoelina)大統領の弾劾決議案を圧倒的賛成多数で可決した。
2009年のクーデターはアンタナナリボの市長であったラジョエリナ氏とランドリアニリナ氏が主導。ラジョエリナ氏はラベロマナナ(Marc Ravalomanana)前大統領の独裁的な政治運営に反発し、首都で大規模な抗議運動を展開した。
抗議活動は次第に激化し、治安部隊との衝突も発生。軍の一部がラジョエリナ氏側に寝返ったことで、政権は弱体化した。ラベロマナナ氏は2009年3月に辞任し、権限を軍に委譲。軍はその後、ラジョエリナ氏を暫定大統領に任命した。
このクーデターは国際社会から非難を浴び、アフリカ連合やEU、国連などはマダガスカルの加盟資格停止や経済援助の凍結などの措置を取った。政情不安はその後も続き、民主秩序の回復には数年を要した。