▽同国最大の反政府勢力M23(3月23日運動)が主導する「コンゴ川同盟」は先月末に東部・北キブ州の州都ゴマを制圧。南キブ州の州都ブカブに進軍中とみられる。
![](https://kagonma-info.com/wp-content/uploads/2025/02/2025年2月1日/コンゴ民主共和国、北キブ州ゴマ、M23の戦闘員とルワンダ軍の兵士(Getty-Images/AFP通信).jpg)
アフリカ諸国の首脳は8日、コンゴ民主共和国の紛争に関する緊急会合を開き、コンゴ政府に対し、5日以内に「即時かつ無条件の停戦」について協議し、結論を出すよう求めた。
この会合はタンザニアで開催され、8カ国からなる東アフリカ共同体(EAC)と16カ国からなる南部アフリカ開発共同体(SADC)の首脳が参加した。
首脳たちは紛争当事者に対し、市民を避難させる人道回廊の開設を呼びかけた。
同国最大の反政府勢力M23(3月23日運動)が主導する「コンゴ川同盟」は先月末に東部・北キブ州の州都ゴマを制圧。南キブ州の州都ブカブに進軍中とみられる。
M23は3日、一方的に停戦を宣言したが、ゴマ郊外ではそれ以降も激しい戦闘が続いている。
国連はM23がゴマを制圧して以来、3000人近くが死亡、約2900人が負傷したと報告している。実際の死傷者数はもっと多いという情報もある。
欧米諸国は隣国ルワンダによるM23への軍事支援を非難。一部の国は援助停止を決めている。
ルワンダ軍はM23を積極的に支援し、ゴマ市内で堂々と活動中。ゴマ郊外でコンゴ軍と交戦中とみられる。
ルワンダ大統領府は先月末、「コンゴとの全面戦争に応じる用意がある」と表明した。
現地メディアによると、M23は南キブ州ブカブから数十キロの地点にある町に接近しているという。この町には空港があり、軍が守りを固めていると伝えられている。
EACの議長であるケニアのルト(William Ruto)大統領は演説で、「我々はすべての当事者に対し、停戦を実現すること、特にM23に対し、これ以上の前進を停止すること、コンゴ民主共和国軍に対し、すべての報復措置を停止することを求める」と述べた。
ルワンダのカガメ(Paul Kagame)大統領とコンゴのチセケディ(Félix Tshisekedi)大統領は会合に出席しなかった。
M23はルワンダとウガンダの支援を受けていたコンゴのツチ族武装集団の元戦闘員で構成され、2009年3月に締結された和平協定により、コンゴ軍に編入された。
しかし、M23の戦闘員はコンゴ軍に編入された後もルワンダ国境付近で活動を続け、13年の紛争に敗れるとルワンダやウガンダに逃亡。21年11月頃から活動を活発化させ、北キブ州の複数の集落を占領した。
コンゴ、米国、国連安保理はルワンダ政府がM23を支援していると指摘。ルワンダはこの主張を否定している。
1994年のルワンダ大虐殺に関与したとされるフツ族の住民数千人がコンゴ東部に逃げ込んで以来、両国の関係は緊張状態にある。
M23はコンゴに逃げ込んだフツ族の掃討を目指しているものとみられる。ルワンダはコンゴ政府が組織的に大虐殺の加害者であるフツ族を匿っていると主張している。
ルワンダ大虐殺の犠牲者は80万~100万人と推定されている。フツ族の過激派はツチ族だけでなく、フツ族の穏健派も殺害した。
国連はコンゴ国内で活動するルワンダ兵を最大4000人と推定している。
政府とM23による戦争は世界最大級の人道危機に発展。700万人以上が避難を余儀なくされている。
ゴマには国連コンゴ民主共和国安定化ミッション(MONUSCO)の本部と南部アフリカ地域圏の基地があり、郊外の避難民キャンプでは少なくとも200万人がテント生活を送っている。
過去2週間の戦闘で避難を余儀なくされた市民は数万人と推定されている。多くの市民がルワンダに逃げ込んだ。