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▽チセケディ大統領は全ての与野党議員が参加する挙国一致内閣を発足させる準備を進めている。
2022年11月15日/コンゴ民主共和国、東部の北キブ州郊外、州都ゴマに避難する人々(Moses Sawasawa/AP通信)

アフリカ中央部・コンゴ民主共和国のチセケディ(Félix Tshisekedi)大統領は22日、東部・北キブ州と南キブ州で同国最大の反政府勢力M23(3月23日運動)が猛威を振るう中、挙国一致内閣を発足させ、与野党で団結して問題解決に当たると表明した。

大統領府は声明で、「チセケディ大統領は全ての与野党議員が参加する挙国一致内閣を発足させる準備を進めている」と明らかにした。

M23(3月23日運動)が主導する「コンゴ川同盟」は先月末にコンゴ東部・北キブ州の最大都市ゴマを占領。その後、東部第2の都市である南キブ州ブカブに進軍、制圧した。

M23は今月初めに一方的に停戦を宣言したが、ゴマ郊外ではそれ以降も激しい戦闘が続いているとみられる。

国連はM23がゴマを制圧して以来、3000人近くが死亡、約2900人が負傷したと報告している。実際の死傷者数はもっと多いという情報もある。

欧米諸国は隣国ルワンダによるM23への軍事支援を非難。一部の国は援助停止を決めている。

ルワンダ軍はM23を積極的に支援し、ゴマ市内で堂々と活動中。ゴマ郊外でコンゴ軍と交戦中という情報もある。

ルワンダ大統領府は先月末、「コンゴとの全面戦争に応じる用意がある」と表明した。

一部の野党議員はチセケディ氏が年内、早ければ上半期中に退任する可能性があると予想。最悪の場合、国外逃亡もあり得ると主張している。

チセケディ氏は22日に開かれた与党会合で野党との対立に言及。「議会の抗争に気を取られてはいけない」と強調した。

大統領府の報道官はその後の声明で、「チセケディ大統領は挙国一致内閣を発足させ、首相を交代させる予定である」と述べた。

しかし、主要野党は大統領府の発表を批判。「チセケディは権力の座を守ることしか考えていない」と主張した。

ある野党議員はX(旧ツイッター)への投稿で、「お前(チセケディ氏)が辞めば、M23も攻撃を止める」と主張したが、真偽は不明である。

M23はルワンダとウガンダの支援を受けていたコンゴのツチ族武装集団の元戦闘員で構成され、2009年3月に締結された和平協定により、コンゴ軍に編入された。

しかし、M23の戦闘員はコンゴ軍に編入された後もルワンダ国境付近で活動を続け、13年の紛争に敗れるとルワンダやウガンダに逃亡。21年11月頃から活動を活発化させ、北キブ州の複数の集落を占領した。

コンゴ、米国、国連安保理はルワンダ政府がM23を支援していると指摘。ルワンダはこの主張を否定している。

1994年のルワンダ大虐殺に関与したとされるフツ族の住民数千人がコンゴ東部に逃げ込んで以来、両国の関係は緊張状態にある。

M23はコンゴに逃げ込んだフツ族の掃討を目指しているものとみられる。ルワンダはコンゴ政府が組織的に大虐殺の加害者であるフツ族を匿っていると主張している。

ルワンダ大虐殺の犠牲者は80万~100万人と推定されている。フツ族の過激派はツチ族だけでなく、フツ族の穏健派も殺害した。

国連はコンゴ国内で活動するルワンダ兵を最大4000人と推定している。

政府とM23による戦争は世界最大級の人道危機に発展。700万人以上が避難を余儀なくされている。

ゴマには国連コンゴ民主共和国安定化ミッション(MONUSCO)の本部と南部アフリカ地域圏の基地があり、郊外の避難民キャンプでは少なくとも200万人がテント生活を送っている。

M23はブカブから30キロほど離れた地点にある空港も占拠した。

国連はこの紛争が1990年代から2000年代の第2次コンゴ戦争のような規模に発展することを恐れている。この戦争では500万~600万人が死亡したと推定されている。

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