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コンゴ軍事法廷、カビラ前大統領に死刑判決、欠席裁判

軍事法廷は判決の中でカビラ氏を逮捕するよう命じたが、実現するかどうかは不明だ。
2025年5月29日/コンゴ民主共和国、北キブ州ゴマ、カビラ前大統領(AP通信)

アフリカ中央部・コンゴ民主共和国の軍事法廷は9月30日、国家反逆罪と戦争犯罪の罪でカビラ(Joseph Kabila)前大統領に死刑を言い渡した。

カビラ氏は2001年から2019年まで大統領を務め、自身に対する激しい抗議デモの後、退陣。同国最大の反政府勢力M23(3月23日運動)の反乱を支援したとして指名手配されている。

カビラ氏は23年末から南アフリカに滞在。現在の所在地は不明だ。

カビラ氏は以前、この裁判を「茶番」と呼び、チセケディ政権を「無能」「馬鹿の集まり」と呼んでいた。

カビラ氏は5月、M23が支配する北キブ州で公の場に姿を見せた。

軍事法廷は判決の中でカビラ氏を逮捕するよう命じたが、実現するかどうかは不明だ。

政府はカビラ氏がルワンダの支援を受けるM23と共謀していると主張。M23は今年1月、戦乱の北キブ州と南キブ州を支配下に置いた。

カビラ氏は政府の主張を否定している。

首都キンシャサの軍事法廷は反逆罪、戦争犯罪、陰謀罪、反乱罪でカビラ氏に死刑を宣告。政府に290億ドル、北キブ州に20億ドル、南キブ州に20億ドルの損害賠償を支払うよう命じた。

政府とM23は7月、カタール・ドーハで数十年に渡る紛争を終結させるための原則宣言に署名した。

この宣言には恒久的な停戦と和平協定締結に向けたコミットメントが盛り込まれている。

和平協定は8月18日までに締結される予定であったが、折り合いがつかず、締結には至っていない。

M23はルワンダとウガンダの支援を受けていたコンゴのツチ族武装集団の元戦闘員で構成され、2009年3月に締結された和平協定により、コンゴ軍に編入された。

しかし、M23の戦闘員はコンゴ軍に編入された後もルワンダ国境付近で活動を続け、13年の紛争に敗れるとルワンダやウガンダに逃亡。21年11月頃から活動を活発化させ、北キブ州の複数の集落を占領した。

コンゴ、米国、国連安保理はルワンダ政府がM23を支援していると指摘。ルワンダは長年、この主張を否定してきた。

1994年のルワンダ大虐殺に関与したとされるフツ族の住民数千人がコンゴ東部に逃げ込んで以来、両国の関係は緊張状態にある。

M23はコンゴに逃げ込んだフツ族の掃討を目指しているものとみられる。ルワンダはコンゴ政府が組織的に大虐殺の加害者であるフツ族を匿っていると主張している。

ルワンダ大虐殺の犠牲者は80万~100万人と推定されている。フツ族の過激派はツチ族だけでなく、フツ族の穏健派も殺害した。

国連はコンゴ国内で活動するルワンダ兵を最大4000人と推定している。

政府とM23による戦争は世界最大級の人道危機に発展。700万人以上が避難を余儀なくされている。

国際社会はこの紛争が1990年代から2000年代の第2次コンゴ戦争のような規模に発展することを恐れている。この戦争では500万~600万人が死亡したと推定されている。

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