コンゴ検察、前大統領の政党関係者に出頭要請、東部紛争で緊張高まる
▽チセケディ大統領は最近、カビラ前大統領が東部地域で猛威を振るう同国最大の反政府勢力M23(3月23日運動)を支援していると主張していた。
とカビラ前大統領(Getty-Images/AFP通信)-1.jpg)
アフリカ中央部・コンゴ民主共和国のカビラ(Joseph Kabila)前大統領が所属する政党の関係者が検察庁に出頭した。現地メディアが10日に報じた。
それによると、検察庁は出頭を要請した理由を明らかにしていないという。
ロイター通信は関係者の話しとして、「カビラ氏ではなく、党副総裁の発言に関して、検察が捜査を進めている」と報じた。
副総裁は先週、野党陣営との協議に参加した際、反武装勢力が攻勢強める東部地域での紛争に言及し、チセケディ政権の崩壊に備えるよう促したとされる。
ロイターによると、検察は10人から任意で話しを聞く旨を党に伝え、出頭したのは3人だけだったという。
チセケディ(Félix Tshisekedi)大統領は最近、カビラ氏が東部地域で猛威を振るう同国最大の反政府勢力M23(3月23日運動)を支援していると主張していた。
カビラ氏は先週、国の将来について話し合うため、野党の政治家や市民グループの関係者との会合に出席していた。
M23が主導する「コンゴ川同盟」は1月末に北キブ州の最大都市ゴマを占領。その後、東部第2の都市である南キブ州ブカブに進軍、制圧した。
M23は2月初めに一方的に停戦を宣言したが、ゴマ郊外ではそれ以降も激しい戦闘が続いている。
コンゴのトゥルカ(Judith Suminwa Tuluka)首相は先月末、東部紛争における今年の死者数が7000人を超えたと明らかにした。
国連はM23がゴマを制圧して以来、3000人近くが死亡、約2900人が負傷したと報告している。
欧米諸国は隣国ルワンダによるM23への軍事支援を非難。一部の国は援助を停止した。
ルワンダ軍はM23を積極的に支援し、ゴマ市内で堂々と活動中。ゴマ郊外でコンゴ軍と交戦中という情報もある。
ルワンダ大統領府は1月末、「コンゴとの全面戦争に応じる用意がある」と表明した。
M23はゴマの近郊に位置するマシシとカタレも制圧したとされるが、国連によると、マシシでは先月から激しい戦闘が続いているとみられる。
被害の状況はほとんど明らかになっていないものの、多くの専門家が実際の死傷者数は政府の発表よりはるかに多いと指摘している。
M23はルワンダとウガンダの支援を受けていたコンゴのツチ族武装集団の元戦闘員で構成され、2009年3月に締結された和平協定により、コンゴ軍に編入された。
しかし、M23の戦闘員はコンゴ軍に編入された後もルワンダ国境付近で活動を続け、13年の紛争に敗れるとルワンダやウガンダに逃亡。21年11月頃から活動を活発化させ、北キブ州の複数の集落を占領した。
コンゴ、米国、国連安保理はルワンダ政府がM23を支援していると指摘。ルワンダは長年、この主張を否定してきた。
1994年のルワンダ大虐殺に関与したとされるフツ族の住民数千人がコンゴ東部に逃げ込んで以来、両国の関係は緊張状態にある。
M23はコンゴに逃げ込んだフツ族の掃討を目指しているものとみられる。ルワンダはコンゴ政府が組織的に大虐殺の加害者であるフツ族を匿っていると主張している。
ルワンダ大虐殺の犠牲者は80万~100万人と推定されている。フツ族の過激派はツチ族だけでなく、フツ族の穏健派も殺害した。
国連はコンゴ国内で活動するルワンダ兵を最大4000人と推定している。
政府とM23による戦争は世界最大級の人道危機に発展。700万人以上が避難を余儀なくされている。
ゴマには国連コンゴ民主共和国安定化ミッション(MONUSCO)の本部と南部アフリカ地域圏の基地があり、郊外の避難民キャンプでは数百万人がテント生活を送っている。
M23はブカブから30キロほど離れた地点にある空港も占拠した。
国際社会はこの紛争が1990年代から2000年代の第2次コンゴ戦争のような規模に発展することを恐れている。この戦争では500万~600万人が死亡したと推定されている。