▽アムネスティは国際刑事裁判所(ICC)に対し、この戦闘を戦争犯罪として捜査するよう求めた。
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは19日、アフリカ中央部・コンゴ民主共和国の軍隊と同国最大の反政府勢力M23(3月23日運動)が「戦争犯罪」を犯している可能性が高いと非難した。
アムネスティは19日に公表した報告書の中で、「軍とM23は24年1~7月にかけて、東部・北キブ州の人口密集地などで激しい戦闘を繰り広げ、ロケット弾やその他爆発物を150回以上発射し、100人以上の市民がこれに巻き込まれて死亡した」と述べた。
それによると、双方は北キブ州郊外の数十カ所で交戦し、数千人の一般市民が戦闘に巻き込まれたという。
アムネスティは国際刑事裁判所(ICC)に対し、この戦闘を戦争犯罪として捜査するよう求めた。
またアムネスティは「双方が一般市民を無視して爆発物を使用している」と非難。「戦争犯罪、人道に対する罪、人権侵害が横行している」と述べた。
M23はルワンダとウガンダの支援を受けていたコンゴのツチ族武装集団の元戦闘員で構成され、2009年3月に締結された和平協定により、コンゴ軍に編入された。
しかし、M23の戦闘員はコンゴ軍に編入された後もルワンダ国境付近で活動を続け、13年の紛争に敗れるとルワンダやウガンダに逃亡。21年11月頃から活動を活発化させ、北キブ州の複数の集落を占領した。
コンゴ、米国、国連安保理はルワンダ政府がM23を支援していると指摘。ルワンダはこの主張を否定している。
1994年のルワンダ大虐殺に関与したとされるフツ族の住民数千人がコンゴ東部に逃げ込んで以来、両国の関係は緊張状態にある。
M23はコンゴに逃げ込んだフツ族の掃討を目指しているものとみられる。
国連はコンゴ国内で活動するルワンダ兵を最大4000人と推定している。
政府とM23による戦争は世界最大級の人道危機に発展。700万人以上が避難を余儀なくされている。
国連によると、軍とM23による戦闘は数カ月前に激化し、今年に入ってから23万7000人以上が避難を余儀なくされたという。
M23はこの数週間、北キブ州で大きく前進している。今月初めには州都ゴマの近郊に位置するマシシとカタレを支配下に置いたとされる。この週末には隣接する南キブ州でも軍とM23による戦闘が報告されている。
コンゴ東部では国際テロ組織アルカイダやイスラム国(ISIS)とつながりのある過激派など、120以上の武装勢力が活動している。
軍はイスラム国(ISIS)系組織「民主同盟軍(ADF)」の攻撃にも対処する必要があり、厳しい戦いを強いられている。