コンゴとルワンダが和平案を提出=トランプ政権顧問
▽コンゴ東部ではルワンダ政府の支援を受ける反政府勢力M23(3月23日運動)が猛威を振るっている。
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アフリカ中央部・コンゴ民主共和国とルワンダが米国の仲介のもと、和平協定の草案を提出した。トランプ米政権のアフリカ顧問が5日、明らかにした。
ブーロス(Massad Boulos)上級顧問はX(旧ツイッター)に声明を投稿。「コンゴとルワンダ両国から和平提案の草案を受け取った」と明らかにし、「和平に向けた重要な一歩を踏み出した」と強調した。
両国の外相は先週、ルビオ(Marco Rubio)米国務長官の仲介のもと、5月2日までに和平協定案を作成し、武装グループへの軍事支援をやめると約束。合意文書に署名した。
ルワンダの外務省は3日、Xへの投稿で、「両国の草案はまだ統合されておらず、協議が続いている」と明らかにした。
ブーロス氏は先週、ロイター通信のインタビューで、「トランプ(Donald Trump)は早期の和平を望んでおり、ルビオ氏が5月中旬にワシントンDCでコンゴおよびルワンダの外相と会談し、和平協定に調印する計画である」と述べていた。
コンゴ東部ではルワンダ政府の支援を受ける反政府勢力M23(3月23日運動)が猛威を振るっている。コンゴ政府はこの紛争における今年の死者数が7000人を超えたと報告している。
M23が主導する「コンゴ川同盟」は1月末に東部の最大都市である北キブ州ゴマを占領。その後、東部第2の都市である南キブ州ブカブに進軍、制圧した。
欧米諸国は隣国ルワンダによるM23への軍事支援を非難。一部の国は援助を停止した。
ルワンダ軍はM23を積極的に支援し、ゴマ市内で堂々と活動中。ゴマ郊外でコンゴ軍と交戦中という情報もある。
アフリカ諸国の調停努力が頓挫する中、カタールは3月、コンゴのチセケディ(Félix Tshisekedi)大統領とルワンダのカガメ(Paul Kagame)大統領を招き、その後、仲介国のアンゴラと共に「即時かつ無条件の停戦」を求める共同声明を出した。
この結果、コンゴ政府とM23はカタールに代表団を派遣することで合意した。
M23はメンバーに対する刑事告発を終わらせるだけでなく、チセケディ政権が対話に応じることを望んでいる。
一方、チセケディ氏は長い間、M23をテロリストと決めつけ、対話を拒否してきた。
コンゴ川同盟は3月、支配下に置いた北キブ州の要衝ワリカレから部隊を撤退させると表明。国連はこの決定を歓迎し、撤退を機に停戦交渉を加速させるよう促した。
しかし、M23はその後、国軍とその支援民兵がワリカレに攻撃ドローンを送り込んできたと主張。撤退を取り消した。
ワリカレの人口約1万5000人。ゴマの北西約125キロに位置し、第4の都市キサンガニの400キロ圏内にある。
東部4州の主要道路がワリカレを通過する。国軍はこの町を失ったことで、東部4州の主要都市にアクセスしづらくなった。
双方は紆余曲折の末、互いに歩み寄る姿勢を見せ、M23はワリカレから部隊を撤退させた。
M23はルワンダとウガンダの支援を受けていたコンゴのツチ族武装集団の元戦闘員で構成され、2009年3月に締結された和平協定により、コンゴ軍に編入された。
しかし、M23の戦闘員はコンゴ軍に編入された後もルワンダ国境付近で活動を続け、13年の紛争に敗れるとルワンダやウガンダに逃亡。21年11月頃から活動を活発化させ、北キブ州の複数の集落を占領した。
コンゴ、米国、国連安保理はルワンダ政府がM23を支援していると指摘。ルワンダは長年、この主張を否定してきた。
1994年のルワンダ大虐殺に関与したとされるフツ族の住民数千人がコンゴ東部に逃げ込んで以来、両国の関係は緊張状態にある。
M23はコンゴに逃げ込んだフツ族の掃討を目指しているものとみられる。ルワンダはコンゴ政府が組織的に大虐殺の加害者であるフツ族を匿っていると主張している。
ルワンダ大虐殺の犠牲者は80万~100万人と推定されている。フツ族の過激派はツチ族だけでなく、フツ族の穏健派も殺害した。
国連はコンゴ国内で活動するルワンダ兵を最大4000人と推定している。
政府とM23による戦争は世界最大級の人道危機に発展。700万人以上が避難を余儀なくされている。
ゴマには国連コンゴ民主共和国安定化ミッション(MONUSCO)の本部と南部アフリカ地域圏の基地があり、郊外の避難民キャンプでは数百万人がテント生活を送っている。
M23はブカブ近郊の空港も占拠した。
国際社会はこの紛争が1990年代から2000年代の第2次コンゴ戦争のような規模に発展することを恐れている。この戦争では500万~600万人が死亡したと推定されている。